初招集で、いきなり敵地のオーストラリア戦で衝撃の初スタメン。すでに日本がワールドカップ本大会出場を決めている状況とはいえ、６月５日のアジア最終予選・豪州戦のスターティングメンバーに「俵積田晃太」の名前がある事実に正直、驚いた。

　と同時に、期待感もあった。FC東京の担当記者を長年なってきた実績があるから、「ここで十八番のドリブル突破を見せてくれ」とワクワクもしたのだ。

　だから試合中はどうしても左サイドに目が行く。そして３-４-２-１システムの左ウイングバックを担った俵積田にボールが渡るたびに「仕掛けろ」と思わず口に出してしまう。

　ただ、俵積田にとって"不運"だったのは、この日のオーストラリアがホームゲームにも関わらずベタ引きしてきた点だ。俵積田のスピードを利したドリブルはスペースがあってこそ活きるが、そのスペースが限られてしまった。しかも、オーストラリアに中央部を固められたせいで得意のカットインもなかなか披露できない。
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　初めて俵積田のプレーを見た日本代表のファン・サポーターの中には「こんなモノなの？」と思った方もいるかもしれない。実際、インパクトを残せたかと言えば微妙で、ゴールやアシストを決めたわけでもなく沈黙したのだから、プレー貢献度はそう高くないだろう。

　それでも主張したい。俵積田の実力はこんなモノではない、と。ここでそう力説したところで説得力に欠けるのは百も承知だが、底知れぬポテンシャルを秘めているのは確かだ。

　「一発屋」で終わってほしくない。続くインドネシア戦で出番があるなら、多少強引でもいいからカットインからのドリブルシュートをチャレンジすべきだ。この"逆襲の一手"で森保一監督のハートを掴んでほしい。

文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）

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