30代になり完成系に近づいたと実感。まさに今が旬の木下康介が心躍らせる「広島なら、さらに自分が輝けるんじゃないか」

2025年06月04日 寺田弘幸

スキッベ監督も喜ぶ「本当に来てくれて良かった」

広島に完全移籍の木下。新たな得点源として大きな期待が寄せられている。写真:寺田弘幸

 クラブワールドカップ2025の開催により6月1日からウインドーが開くと、広島がさっそく動いた。2日に柏から木下康介の加入を発表。3日にはエディオンピースウイング広島で新加入選手会見が開かれた。

「このチームに全てを捧げる覚悟で来たので、よろしくお願いします」

 190センチのFWが固い決心を口にすると、栗原圭介強化部長は木下の獲得にいたった理由を熱心に語った。

「皆さんご存知のように高さと強さを兼ね備えたフォワードで、しっかりとボールを収めることができて、攻撃の起点にもなってくれますし、前に、ゴールに向かっていくプレーがフォワードらしくて、ウチのスタイルに合う選手だなと思います。

 ただ、一番はやっぱり得点感覚ですね。特にクロスに合わせていく時は、高さを活かしたヘディングもそうですけど、入り方もすごく上手で、クロスが多い広島にとっては貴重な得点源になってくれると思っています」

 その後も、献身的に守備に走れる、戦術理解度の高さ、途中出場からも結果を出せるところを挙げていき、「間違いなく広島のスタイルに合う選手で、広島を得点力アップさせてくれて勝利に導いてくれることを期待しております」と栗原強化部長は太鼓判を押した。

 昨シーズンに柏で二桁得点を挙げる活躍は、ミヒャエル・スキッベ監督の目に留まっていて「冬にも興味があったんですけど、その時は柏から出られないということだった。ただシーズンが始まって状況が変わった。本当に来てくれて良かった」と喜んでいる。

 同ポジションのジャーメイン良は少しホッとっした表情を浮かべ、「そもそもフォワードの人が足りてなかった部分があるし、本当に素晴らしい選手なんで、自分も吸収できるところは吸収して成長していきたいと思います」と話していた。
 
 新戦力を迎え入れる側は、チーム編成の責任者も、現場で指揮を執るドイツ人監督も、今季すべての公式戦に先発出場してきたストライカーも、皆がウェルカムな移籍になったと言っていいだろう。

 そして、移籍を決断した木下も広島で力を発揮できると確信している。

 昨季にJ1で二桁得点をマークした。得点力が開眼した理由を問われた木下は、「その話をするとけっこう長くなるんです」と断りを入れ、かなり端折って語っている。

「18歳から海外に行って、怪我が多くて苦労したことが多かった。日本に帰ってきてからいろんな人の助けをもらって、少しずつ本来の自分の力を取り戻してきた。それで完成系に近づいたっていう長いプロセスなんですけど、それが一番の要因かなと思います」

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