約1年ぶりの出場。千葉・米倉恒貴の背中にチームメイトも抱いた感動

2025年06月01日 本田健介(サッカーダイジェスト)

「正直戻れるか分からなかった」

山口戦に出場した米倉。チャンスにも絡んだ。(C)SOCCER DIGEST

[J2第18節]千葉 0-0 山口/5月31日/フクダ電子アリーナ

 首位の千葉にとって、チャンスを作りながら1点が遠かった山口との一戦。終盤に切り札として投入されたのが、37歳の米倉恒貴だ。

「満身創痍」と本人も語るように米倉にとっては約1年ぶりの出場。本来はSBとして起用されるが、この日はFW登録でベンチに入り、84分に2トップの一角として送り出された。

 スタジアムがひと際沸いたのは、やはりこの男への期待の表われである。「正直戻れるか分からなかった」と吐露するが、久々のピッチでも米倉はバイシクルで惜しいシュートを放つなど、存在感を示す。空中戦の強さを見せたのもさすがの身体能力の高さだった。

 当の米倉は「戻って来られて本当に嬉しいです。チームは首位にいるし凄い。点を取れないことだって長いシーズンを考えればそういう時はある」と語り、「次いつくるか分からないですけど、しっかり準備したいです」と話してスタジアムを後にした。味方たちは、その頼れるベテランの背中に心を打たれたようだ。

【動画】千葉×山口のハイライト
 特に、キャプテンの鈴木大輔は以前、米倉らの名前を出し、こう強調していた。

「次に自分に出番が回ってきた時のために最大限の準備をするとか、自分が苦しい時にチームのためにどれだけできるか。そこを口にしてくれている選手たちがいる。そういう選手たちがいるからこそ自分たちはやれている。周りの選手たちのお陰で今の状況がある。大事なのはやっぱりチーム。僕は出ていない選手たちのサポートが今、何より大きいと感じています。

 それぞれの立場で悔しい想いを押し殺してチームのために動いてくれている。でも次出るために準備は怠らない。そこがあるから今の自分たちがある。そこは忘れちゃいけない。ぜひともクローズアップしてください」

 そして山口戦の後にも鈴木は熱く語ってくれた。

「(久しぶりに出場した風間)宏矢もそうだし、ヨネ(米倉)も、苦しい時期を経てピッチに戻ってきて躍動する。その姿に自分たちは勇気をもらえる。一歩前に出られる。自分自身、後ろから見ていて感動していた。特にヨネが途中から出てきて、最後惜しいシーンも作った。あ、これ、行かなきゃなと本気で思わせてくれる。ここからチーム総力戦になりますし、そういう選手たちの底上げは非常に大事だと感じました。

 改めてチームのために盛り上げてくれた。その選手たちのお陰で今があると本気で思っています。そういう選手たちがチャンスをもらった時にいろんな想いで今日は勝ちたかった。今後はそういうシーンを増やしたい」

 17年ぶりとなる悲願のJ1復帰を目指す千葉にとって、頼りになる男が戻ってきたと言えるだろう。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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