【広島】“魔の3分間”に呑まれた大魔神・林。「この悔しさは勝っていくことでしか晴らせない」

2016年07月10日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「(敗戦は)自分のせいじゃないですか。点を取られているんで」

鹿島のプレッシャーをいなし切れず、足もとの拙さを露呈。リズムを崩した影響か、林はセービングでもミスを犯してしまった。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 浅野拓磨のゴールで1点を返し、反撃ムードに入った矢先のことだった。56分、左サイドを崩され、折り返しに合わせた土居聖真のシュートはバーを直撃。跳ね返ったボールが不運にも林卓人の背中に当たってゴールラインを割ってしまう。さらにその2分後には、遠藤康が放ったミドルシュートを林が前にこぼしてしまい、ダメ押しの4点目を献上した。林にとっては、まさに"魔の3分間"だった。
 
「(敗戦は)自分のせいじゃないですか。点を取られているんで」
 
 広島の守護神は、悔しさを滲ませながら試合を端的に振り返った。
 
 この日は、鹿島の激しいプレッシングに押され、通常であれば最終ラインの3枚でいなしながら前に出て行けるところが、GKが加わらなければならない場面が多かった。鋭いセービングに比べると、足もとの技術は林の課題分野。ビルドアップでバタつき、リズムを崩した結果、チーム全体も悪い流れに呑み込まれてしまった。3-5-2の新システムでボランチが1枚に減ったエクスキューズがあるとはいえ、チームとしての戦い方は間違っていなかったと林は話す。
 
「プレスに来てくれている状況は、つまりどこかが空いているということ。上手く(マークを)剥がした時はチャンスができていたんで、自分たちのやり方を変えるつもりはなかった。プレッシャーがキツいからと言って(前に)蹴っていたら、もっと難しい状況になっていたと思います」
 
 隙を見逃さなかった鹿島のしたたかさは確かに見事だったが、広島としては相手がプレッシャーをかけてくることは想定済み。練習から「もっとキツい設定でやっている」からこそ、また、第1ステージでの対戦も鹿島に1試合・4失点を喫していることも林の悔しさを何倍にも増幅させた。もっとも、中3日で次の試合(柏戦)を迎えるため、下を向いている暇はない。
 
「1点返した後、自分たちにパワーを持って行ければ、チャンスも広がった。同じ相手に2度負けて、悔しいのは当たり前。でも、ここから勝ち上がっていくことでしか、それを晴らせない。次の試合で勝てるように、しっかり努力していきたい」
 
 この悔しさをバネに、昨季リーグ優勝に貢献した"大魔神"の姿を取り戻してくれることを願いたい。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)
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