まさに川崎らしいゴール。浦和戦での華麗な崩しの背景にあったドラマ

2025年05月22日 本田健介(サッカーダイジェスト)

最後は瀬川が決める

瀬川のもとに懸け寄る選手たち。素晴らしいゴールだった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第13節]川崎 2-2 浦和/5月21日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

 1-1で迎えた試合終盤、等々力はまさに歓喜の渦に包まれた。

 86分、相手ゴール前の左から中央でパスをつなぎつつ、投入されたばかりのMF大関友翔が右サイドに展開。攻め上がった右SBのファンウェルメスケルケン際がダイレクトで折り返すと、数人の選手が待ち受けていた相手ペナルティエリアのなかでフリーになっていた、こちらも途中出場の瀬川祐輔がダイレクトで豪快に合わせた。

 中央でパス交換しながら連動して動き、幅を使って相手の守備を広げつつ、ダイレクトプレーを続けてネットを揺らす。まさに川崎らしい美しい崩しで逆転ゴールを奪ったのである。

 起点になった大関は振り返る。

「前半から中で細かいパスで相手を密集させていたからこそ、(右SBの)際くんがあれだけ浮いたと思います。試合を通して取れた得点だと感じます。前半からあれをやっていたらそんなに上手くいかなかったはずですし、時間帯を含めて良い形ができたかなと思います」

【動画】川崎の華麗な崩しからの瀬川のゴール
 さらにゴールを決めたのが、出場機会が限られ、陰ながら努力を続けた瀬川だったことも大きい。大関は笑顔で答える。

「瀬川くんもACLからベンチスタートが続いていて、苦しい想いをしているのを聞いたり、見たりしていました。でも、自分たちにいつも明るい言葉をかけてくれる。自分が出なくてもチームのために声を出す姿をすごく尊敬していました。だからこそ瀬川くんが取ってくれたのは嬉しかったですし、何より自分がそこに絡めたことが良かったです。なぜか僕はゴール後の喜びは際くんのほうに行っちゃったんですが、それは後悔しています(笑)。

 前節を含め、監督も後半開始前に途中出場の選手が鍵になると言っていました。自分を含めてベンチメンバー誰が出ても勢いづけられるのが今のチームの強さだと思うので、今日は勝ち切れなかったですが、勢いづけられたという点はポジティブに捉えても良いと思います」

 またキャプテンの脇坂泰斗も胸を張った。

「試合に出る出ない、いろんな想いをしている選手はどのチームにもいて、一人ひとりの想い、力をひとつにして戦うのが良いチームだと思います。それが良い方向に向いている。キャプテンとしてしていることは特にないんですが、そういったモノをピッチで出すには、トレーニングでピッチに立つ権利を掴まなくてはいけない。そこをみんなやっている結果、こうやってチャンスを手にしている。

 そういった経験を若い選手、試合に出ていない選手に、自分も実際プロに入って1年間はまったく試合に出られなかったですし、そういった体験、経験は先輩たちはしているので、伝えてあげるのもそうですし、ピッチに立った時に活躍する、勇気を与える、そういうことは引き続きやっていきたいです」

 もっともチームは土壇場で失点し、2-2で勝点1獲得にとどまった。試合終了のホイッスルを聞くと、多くの選手がピッチに倒れ込んだ姿は印象深い。

 勝てなかった悔しさは大きい。だが、華麗な崩しでなおかつ瀬川のような模範となる選手に得点が生まれたのは収穫と言えるだろう。

 浦和戦での1点には様々なドラマが含まれていた。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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