監督&コーチ業に挑む安間貴義。FC東京が求める“一人二役”に見出す楽しさとは?

2016年07月18日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「全国にたくさんの監督がいるなかで、たぶんこの状況は僕しか味わえない」

安間はトップチームのコーチとして監督をサポートし、J3に参戦するFC東京U-23の監督として指揮を執る、“一人二役”のビッグミッションに挑んでいる。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 今季のJリーグにおいて、FC東京の安間貴義は「オンリーワン」の存在だ。トップチームのコーチとして監督をサポートし、J3に参戦するFC東京U-23の監督として指揮を執る――。"一人二役"のビッグミッションに挑んでいるのである。
 
 コーチの主な役割は、監督と選手の「つなぎ役」。監督の参謀役のひとりとして考えを選手に伝える一方で、時には選手の意見を監督に汲み上げる。ただ、それと同時に、監督の目指すサッカーに自分なりのアイデアを添えることが重要だと安間は話す。
 
「城福監督がどのようなサッカーをしたいか、それをどう発展させていきたいかをしっかり理解して、選手との間に入ってしっかり伝える。なおかつ、こんなこともできるというアイデアを常に持っていないといけない。監督の哲学を土台に、クラブとして上を目指しているので、様々なことに考えを巡らせています」
 
 そして、他のコーチたちと最も違うのが、FC東京U-23監督としての一面だ。FC東京は、18歳~23歳の選手の試合出場機会を創出し、将来有望株の強化・育成を目的に、U-23チーム結成とJ3参加に乗り出した。最大の目的は「若手を鍛えること」にあるのだが、トップとU-23があくまでひとつのチームとして活動し、同じコンセプトの下で練習を行なう。そして、週末を前にトップとU-23に分け、J1の試合に帯同できない選手のなかからJ3のメンバーをセレクトする流れとなっている。
 
 本来、調子の良い選手を試合に使うのが定石だが、FC東京のアプローチの場合、トップチームの帯同メンバーが決まるまでは、誰がJ3でベンチ入り可能になるかは分からない。トップで試合に出られない選手、リハビリ明けの選手、U-18(ユース)の選手と、それぞれのステータスはまちまち。時にはシステムの指定、選手のプレー時間や交代選手の顔ぶれが決まっていることもあるという。ただでさえ難しい監督業に、数々の制限があるのだから、かなりの負担かと思いきや、安間はすかさず笑顔で答えを返す。
 
「(大変じゃないかと)よく言われますけど、楽しいですよ。普通は(U-23監督の)僕がメンバーを決めるところが、試合当日にならないと誰が出るか分からない。だから、誰が来ても良いように、『プレー原則』を作りました。全国にたくさんの監督がいるなかで、たぶんこの状況は僕しか味わえないんじゃないかな(笑)。
 
 たしかに、いろんな条件があるなかで指揮することはあまりないですが、あくまでトップチーム優先です。それに、FC東京の選手は素材が良いから"変化"が起こる。トップの選手(室屋成、野澤英之、平岡翼、ユ・インス)以外は全員ユースか大学生(山田将之と小山拓哉は大学在学中のJFA・Jリーグ特別指定選手)だった(J3・13節の)セレッソ戦では、茂庭(照幸)選手や橋本(英郎)選手らオーバーエイジを使った相手に1-2と善戦しています」

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