バルサユース時代は力みのないテクニカルなプレーヤーだった
久保(右)と同じくバルサの下部組織で育ったセルヒオ・ゴメス(左)。(C)Getty Images
多くのスポーツで、「身体を大きくすること」でパワーを得られる。トレーニングも奨励されている。メジャーリーグに渡った日本人選手の身体が大きくなると、確かにパワー満点だ。
しかしサッカーで、「身体を大きくする」は本当に正義か?
自らの肉体を機敏に動かし、90分間、戦い続けるための体力や筋力は不可欠だろう。コンタクトスポーツが基本だけに、体幹を鍛えることによってバランスを保つ、最低限の筋力も欠かせない。他にもハムストリングは走力のパワーを引き起こすエンジンのようなもので、やはり鍛えるべきだ。
しかし、少なくとも上半身がムキムキになる必要などないだろう。むしろ、それは重りを背負うことになる。動きの切れを奪い、疲れやすい身体になってしまう。
何より、筋力に頼るようなプレーになってしまい、技術まで落ちるのだ。
例えば、レアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)のスペイン代表セルヒオ・ゴメスは、バルサユース時代は力みのないテクニカルなプレーヤーだった。状況判断に優れ、相手の態勢を捉えてループシュートをしたり、ノールックでラストパスを出したり、アイデアも豊富。何より、一つひとつのプレーが丁寧だった。ボールを扱うことに真摯だったというのか。
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しかし、少なくとも上半身がムキムキになる必要などないだろう。むしろ、それは重りを背負うことになる。動きの切れを奪い、疲れやすい身体になってしまう。
何より、筋力に頼るようなプレーになってしまい、技術まで落ちるのだ。
例えば、レアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)のスペイン代表セルヒオ・ゴメスは、バルサユース時代は力みのないテクニカルなプレーヤーだった。状況判断に優れ、相手の態勢を捉えてループシュートをしたり、ノールックでラストパスを出したり、アイデアも豊富。何より、一つひとつのプレーが丁寧だった。ボールを扱うことに真摯だったというのか。
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今のセルヒオ・ゴメスは、上半身から筋肉が盛り上がっている。それはコンタクトで勝つためもあっただろう。全体の筋肉量も増え、プレースキックでボールに欠けられる回転などは有数のレベルだ。
しかし、近年は力任せなプレーをする印象が強くなった。それに比例し、プレー中のキックは雑。特にラストパスでバウンドさせたり、わずかに角度がずれたり、判断・選択も以前より凡庸になってしまった。動きそのものも、つき過ぎた筋肉が邪魔をしているのか、俊敏さが落ちた。キレを失ってしまったことで相手に捕まえられると、それをパワーで跳ねのけようとする。結果、プレー判断は遅くなり、迷いも出て、悪循環だ。
サッカー界では、パワーが求められるポジションの選手(例えばストライカーやセンターバック)は別にして、筋力アップは必ずしもプレー向上に結びつかない。むしろ、劣化にもつながる。フィジカルモンスターのように一時注目される選手は、そのパワーを売りにしている限り、遅かれ早かれ消える。
現在、世界最高と言えるMFはスペイン代表ペドリだが、彼はフィジカルプレーヤーとは対極にある。ボール、味方、敵、スペースを見渡し、タイミングをつかみ取り、逆を取る。それこそ、サッカーの本質である。
フィジカルで解決できることなど、トップレベルでは限られているのだ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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