うまさを追い求めたことで、しばしば弱さも身につけてしまう
日本代表の最終ラインを長らく支えた吉田。(C)Getty Images
現代のセンターバックは"守る"という本分以外に、ビルドアップの能力が求められる。必然的に、ボールコントロールやキックの正確さ、それに視野の広さや状況判断も欠かせない。
中盤の選手に近い展開力というのか。プレッシングに対し、自ら持ち運ぶことができたら、それだけでアドバンテージになるからだ。
「うまさ」
それはセンターバックにおいても、一つの成功要素になりつつある。
しかしうまさを得ることで、失われる点もあるだろう。無骨さ、堅牢さのようなものを同じレベルで同居させるのは、かなり難しい。うまさを追い求めたことで、しばしば弱さも身につけてしまう。
例えばバルサの元スペイン代表センターバック、エリック・ガルシアはすばらしいキックで展開力を見せるが、一対一のディフェンスはぜい弱だ(今シーズン、E・ガルシアは中盤での起用が多い)。
一方、センターバックにけが人続出のレアル・マドリーでは、中盤のオーレリアン・チュアメニがセンターバックを担当していた。ポゼッションでは貢献度が高いし、ベーシックな守備は問題ない。
しかし"際の守備"のところで、「タックルまで行かなくてはいいか」という怯みが出る。中盤の選手は、「無理に止めるよりも」という判断のずれが出てしまう。緊急的な起用としては悪くないが、やはりシーズンは戦えない。
センターバックには、センターバックの作法があるのだろう。
【画像】日本代表を応援する「美女サポーター」を厳選!
中盤の選手に近い展開力というのか。プレッシングに対し、自ら持ち運ぶことができたら、それだけでアドバンテージになるからだ。
「うまさ」
それはセンターバックにおいても、一つの成功要素になりつつある。
しかしうまさを得ることで、失われる点もあるだろう。無骨さ、堅牢さのようなものを同じレベルで同居させるのは、かなり難しい。うまさを追い求めたことで、しばしば弱さも身につけてしまう。
例えばバルサの元スペイン代表センターバック、エリック・ガルシアはすばらしいキックで展開力を見せるが、一対一のディフェンスはぜい弱だ(今シーズン、E・ガルシアは中盤での起用が多い)。
一方、センターバックにけが人続出のレアル・マドリーでは、中盤のオーレリアン・チュアメニがセンターバックを担当していた。ポゼッションでは貢献度が高いし、ベーシックな守備は問題ない。
しかし"際の守備"のところで、「タックルまで行かなくてはいいか」という怯みが出る。中盤の選手は、「無理に止めるよりも」という判断のずれが出てしまう。緊急的な起用としては悪くないが、やはりシーズンは戦えない。
センターバックには、センターバックの作法があるのだろう。
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「吉田麻也は本当にいい顔つきをしている。"絶対に、ここを通さない"というディフェンスとしての集中力と意志を強く感じさせる。センターバックの顔だ」
元ヴィッセル神戸監督で、現在はマンチェスター・シティのヘッドコーチであるファン・マヌエル・リージョは、そう洩らしていたことがある。
ディフェンス、特にゴールの前に立ちはだかるセンターバックは、「守りの番人」のようないかめしさが不可欠だという。まさに、仁王像のような威厳か。敵をその門から通したら、失点に直結するからだ。
リージョによれば、難攻不落の気概でプレーし続けることによって、その顔つきは作られるという。迫りくるアタッカーと対峙し、戦いを重ねることで、自然に拵えられる表情だ。
不器用だが、強い責任感を感じさせる。融通が利かなそうで、不細工とも言えるが、相手の進撃を止めるためなら、どんな手も使う覚悟が表情に出るのだろう。ふてぶてしくも映る。
「ウルグアイのセンターバックだった(ディエゴ・)ルガーノは、シュートに対して絶対に顔をそむけなかった。顔面でも何でも、(失点を)止めるためには体を張れた。その姿が、チームに勇気を与えるんだ」
リージョは、センターバックのあるべき姿をそう語っていた。
強いチームを支えるセンターバックは、確かに眉目秀麗ではないが、妙に味がある。
文●小宮良之
【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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ディフェンス、特にゴールの前に立ちはだかるセンターバックは、「守りの番人」のようないかめしさが不可欠だという。まさに、仁王像のような威厳か。敵をその門から通したら、失点に直結するからだ。
リージョによれば、難攻不落の気概でプレーし続けることによって、その顔つきは作られるという。迫りくるアタッカーと対峙し、戦いを重ねることで、自然に拵えられる表情だ。
不器用だが、強い責任感を感じさせる。融通が利かなそうで、不細工とも言えるが、相手の進撃を止めるためなら、どんな手も使う覚悟が表情に出るのだろう。ふてぶてしくも映る。
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リージョは、センターバックのあるべき姿をそう語っていた。
強いチームを支えるセンターバックは、確かに眉目秀麗ではないが、妙に味がある。
文●小宮良之
【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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