【岩本輝雄】日本とスペイン、中学生年代で明らかな差。やっているサッカーが違うのはなぜ? やっぱり育成は大事だよ

2025年04月25日 岩本輝雄

レベルが違った。ちょっとプロっぽかった

今年もMICで貴重な経験をさせてもらった。

 今年も行ってきました。スペインのカタルーニャ州ジローナで開催される地中海国際カップ。通称MIC。世界中からいろんなカテゴリーのチームが集まって試合を実施。過去にはメッシやネイマール、ヤマルも出場した歴史のある大会だ。

 今回は中学生年代のチームを中心に試合を見て、日本チームのベンチにも入らせてもらった。日本でセレクションを受けて集められたアンダー14のチームは、残念ながらバルサに大敗してしまったけど、アンダー15のチームはパリ・サンジェルマンに善戦。結果は1-2で負けたとはいえ、メンバーはほぼスペイン在住の日本人で互角に戦っていたね。

 印象に残ったのは、やっぱりバルサかな。トップと同じサッカーで、すでに"形"になっていた。ポジショニングやボールの動かし方、スペースの作り方、パススピードとかはレベルが違った。ちょっとプロっぽかった。個々の選手が自分のやるべきタスクをよく理解して、それをしっかりと実践している。

 中学生年代なら、フィジカルや身体のサイズにそこまで大きな違いはない。でも、ピッチ上では明らかな差があるというか、やっているサッカーが違うと感じた。

 これは育成の問題なんだと思う。たとえばスペインのいろんなクラブでは、子どもたちを成長させるためのメソッドやカリキュラムが確立されているという。現地の指導者とも話をさせてもらったけど、彼らはもちろん勝つことを重視するけど、それと同じぐらい"育てる"ことを大切にしているんだよね。
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 5段階のレベルで考えた時、レベル1や2の選手をいかに4や5に近づけるか。日本ではレベル3を5にするのはわりと得意な気がするんだけど、スペインではレベルが低くても、ちゃんと4や5にまで持っていけるというか。それは確かな育成プログラムがあるからこそ、できると思うし、それだけ多くのハイレベルな選手が育てば競争力も高まって、良い選手が台頭してくるんじゃないかな。

 日本がワールドカップで優勝するためにはどうすればいいか。もっと欧州組を増やしていくのは一理あると思う。それがビッグクラブであればあるほど、なおいいよね。一方で、今回の大会を見て改めて思ったのは、やっぱり育成は大事だなって。すごく勉強させてもらった。

 子どもをいかに教えるかという意味では、育成は育成でも、指導者の育成だよね。何を教えるか。どう教えるか。それに優れた人材をもっと充実させていくことで、日本サッカーの底上げにつながるはず。時間はかかるだろうけど、世界トップの仲間入りをするために、自国でも質の高い育成ができるようになるといいね。

【著者プロフィール】
岩本輝雄(いわもと・てるお)/1972年5月2日、52歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ/平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた"40メートルFK弾"は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説者や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを研究する日々を過ごす。23年に『左利きの会』を発足。

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