家長昭博が語る新生・川崎の現在地。長谷部新体制、そして過酷な連戦の後に待つACLEへの想い

2025年04月20日 本田健介(サッカーダイジェスト)

長谷部新監督の下では10試合・1得点

東京V戦で先発した家長。攻守に絡んだ。(C)SOCCER DIGEST

[J1第11節]川崎 0-0 東京V/4月20日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

 8年指揮を執り7つのタイトルをもたらした鬼木達監督から、長谷部茂利監督に指揮官が代わった今季の川崎は、開幕からリーグ12試合を戦って4勝6分2敗(19得点・11失点)の6位に付ける。

 しかも今大会から方式を変え、準々決勝以降はサウジアラビアで集中開催されるACLエリート(4月25日~5月3日)に向け、3月末からは中2日や中3日で日程が組まれた過酷な7連戦を戦ったが、苦しいスケジュールも2勝4分1敗で走り切り、決戦の地、サウジアラビアへ飛び立つことになった。

 確かにDFジェジエウ、MF大島僚太、橘田健人、FW宮城天ら数人の怪我人が出ており、蓄積疲労で苦しい試合が続いただけに、勝ち切れないゲームもここ数戦は増えていた。

 それでも長谷部監督の下、昨季は失点が続いたクロスの守備対応を改善するなど、組織的なディフェンスを整えるようになり、"勝つ確率"を上げるサッカーを実践していると言えるのだろう。

 自慢のパスワークから相手を崩したり、相手のプレッシングを外す姿は減ったが、数人が絡むサイド攻撃や手数をかけないスピーディな攻めを活用しながらゴールも生み出している。

 相手を見ながら出方を変えることができ、阿吽の呼吸も特長的だった前体制に比べ、より再現性の高いシステマチックな戦いをするようになった分、多くの選手も起用できている印象だ。

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 その新生・川崎としての手応えを、鬼木監督の就任とともにチームに加わり、支えてきた家長昭博は彼らしい言葉で語る。

「(7連戦は)もうちょっと勝点を積み重ねたかったのが、正直なところですが、内容的には失ったと言えるようなゲームはそんなになかったと思いますし、勝点を取りたかったのはどのチームも一緒だと思います。それを省いてまたやれることを増やしていきたいです。

 シゲさん(長谷部監督)が求めていることはチームとして理解していますし、ゼロの試合、失点が少ない試合は如実に出ていると思うので、そうじゃない試合もありますが、そこは監督が求めていることを選手は表現していると思います。まだ10試合くらいで、その要求に達しているかはまだあれですが、みんなでやろうとしています」

 0-0のスコアレスドローだった7連戦最後の東京V戦には、4-2-3ー1の右サイドハーフとして先発するなど、リーグ戦で10試合・1得点(先発は5試合)の成績を残す自身の出来に関しても「(チームと)一緒ですね。求められることに挑戦しなくてはいけないので」と続ける。

「何をしても良い面と悪い面はあると思います。監督が代われば、皆さんもそうだと思いますが上司が代われば仕事の内容も変わると思います。それにアジャストしていくのは当たり前のことなのかなと」

 そうやって前向きに取り組む姿は家長らしいと評せるのだろう。

 チームはこの後、4月27日にアル・サッドとのACLエリート・準々決勝に臨む。準備期間は移動を含め約1週間。体力の回復を図りながらクラブ悲願のアジア制覇を目指す。

 勝ち上がれば、中東の地でそれぞれ準決勝、決勝へ中2日で挑むことになるが、家長は「優勝まで3試合あるので、1試合ずつ勝てるようにあまり普段とは変わらないです。みんなで全部勝てたらと思います。(サウジアラビアでの開催は)経験してから感じるものがあると思うので、今はまだ」と周囲の不安など、どこ吹く風だ。

 それでも公の場では泰然自若としながら、どんな時も決して準備を怠らず、その背中で多くを語ってきた男である。仲間から頼られる"アキさん"は長谷部監督のスタイルにもアップデートしながら、これまでクラブとともに悔しい想いを重ねてきたACLで、チームの一員として輝ける時を待っているのだろう。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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