トランプ大統領に直談判!クラブW杯のチケット売れ残り問題解決に向けて、あの手この手のFIFA会長はついにおべっかまで使って…【現地発】

2025年04月19日 リカルド・セティオン

苦肉の策で26年W杯のチケットを餌にする「チケットパック」も登場

トランプ大統領と談笑するFIFAのインファンティーノ会長(左)。(C)Getty Images

 6~7月にかけてアメリカで開催されるクラブワールドカップ。史上初の32チームが参加し、実に63試合が行なわれる。しかし、チケットの売れ行きはFIFAが予想したよりも芳しくないようだ。
 
 ほとんどの試合が売れ残っていて、6月14日にリオネル・メッシ擁するインテル・マイアミとエジプトのアル・アハリが戦う開幕戦も、いまだ100席近く、17ものセクションが売れ残っている。ニュージャージーのメットライフ・スタジアムで行なわれる決勝も、同じ会場で開催される2つの準決勝も状況は同じようだ。
 
 観客席を埋める目的もあったのか、FIFAはカリフォルニアの大規模な山火事で消火活動に尽力した地元の消防士たちに、その功績を称えるという名目で、パサデナで開催される試合のチケット3万枚以上を提供すると発表している。
 
 売れ行きの悪さの一つの要因は、高く設定されたチケットにあると言われている。カテゴリー1は、グループステージで税・手数料別で89ドル(約1万3000円)から200ドル(約2万9000円)以上、決勝は2600ドル(約37万5000円)、カテゴリー2でもグループリーグは60ドル(約8600円)から140ドル(約2万円)はする。
 
 参加クラブのサポーター向けに、より安価なチケットが販売されているが、それでさえヨーロッパの主要クラブの試合チケットよりも上回っている。米国とカナダのサポーター団体のベイリー・ブラウン会長は「最も熱狂的なサポーターが、価格の高騰によってスポーツを楽しむことができなくなってしまう」と懸念している。
 
 そこでFIFAは新たにゴール裏上階にバリュー席という安い席を作ることにした。このカテゴリーがある試合はベスト16以降で、決勝では最も安い席の料金が892ドル(約12万9000円から300ドル(約4万3000円)にまで下がった。今回の措置は売れ行きが悪いための価格引き下げではなく、米国まで観戦に行くサポーターの忠誠心に報いるためだとFIFAは主張している。
 
 また苦肉の策として、来年のワールドカップ(W杯)のチケットを餌にする「チケットパック」なるものもこの3月から登場した。
 
 このパックは、クラブW杯2025の2試合のチケット(追加料金で3試合も可)がセットになっていて、すべて観戦すると来年のW杯の試合チケット(決勝を除く)1枚の購入保証がもれなくついてくる。
 
 また「スーパーチケットパック」も登場。これはクラブW杯20試合のチケットがセットになっていて、全部観戦するとW杯決勝のチケットを1枚購入できるというのだ。ただしチケットは本人が使用しなければならず、またW杯のチケットの購入の「権利」を得られるだけで無料ではない。2026年W杯のチケット価格はいまだ未定。チケットは早い者順で、アメリカで開催される試合に限られるなど、その他いろいろの制約がつく。
 
 もう一つの芳しくない理由は、やはりアメリカという開催地に起因するるだろう。アメリカにおいてサッカーは、アメフト、バスケ、野球の次、せいぜい4番目に人気のあるスポーツであり、クラブW杯以外にも娯楽イベントは数多くある。
 
 そこでFIFAのインファンティーノ会長はこの3月、トランプ大統領に直々に懇願するためにホワイトハウスへと乗り込んだ。
 
 アメリカを未発展で伸びしろを秘めた大市場と考えているインファンティーノは、トランプ大統領との関係を大事にしていて、彼の第一次大統領時代にもホワイトハウスを訪問しているし、今年1月の統領就任式にも出席している。
 
 トランプ大統領は政府内にクラブW杯と来年のW杯に向けての特別なタスクフォースを設立し、インファンティーノは感謝を述べ、そしてアメリカにあからさまなおべっかを使った。トランプに来年のW杯優勝候補について尋ねられると、インファンティーノはまず「アルゼンチン、ブラジル、イングランド、ドイツ、スペイン」と本音で回答する。しかし、その答にトランプは不満だった。
 
「アメリカは勝てるか?」
 
 慌てたインファンティーノはそれにこう返している。
 
「アメリカは観客の後押しがあれば勝てます。アメリカの選手たちは世界トップクラスのチームに所属していますから」
 
 トランプは興奮しながら訪ねる。
「じゃあ優勝のチャンスはあるんだな」
 
 インファンティーノは答える。
「もちろん、大いにあります」
 
 26年W杯の決勝では、どうやらスーパーボウル風のハーフタイムショーが行なわれるようだ。
 
 
取材・文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子
 
【著者プロフィール】
リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/1963年8月29日生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。ジャーナリストとし中東戦争やユーゴスラビア紛争などを現地取材した後、社会学としてサッカーを研究。スポーツジャーナリストに転身する。8か国語を操る語学力を駆使し、世界中を飛び回って現場を取材。多数のメディアで活躍する。FIFAの広報担当なども務め、ジーコやカフー、ドゥンガなどとの親交も厚い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授として大学で教鞭も執っている。

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