首位浮上のチャンスは活かせずも。20歳コンビの奮闘、涙のデビュー...3-3打ち合いの神奈川ダービーで川崎が得た収穫と課題

2025年04月10日 本田健介(サッカーダイジェスト)

若手らの活躍も

先発のチャンスを掴んだ大関は先制点をマーク。アピールした。写真:鈴木颯太朗

[J1第5節]川崎 3-3 横浜/4月9日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

 サウジアラビアで集中開催されるACLエリートの準々決勝以降の戦いの前に国内での7連戦を戦っている川崎は、その4戦目として横浜と対戦。

 4月6日の町田戦(△2-2)から中2日とあって、大幅にメンバーを入れ替えて臨んだ一戦は、同じくACLエリートを戦う横浜との負けられない"神奈川ダービー"だっただけに、失点すれば奪い返す点の取り合いで3-3で試合を終えた。

 川崎としては収穫と課題が表われる試合となったと言えるだろう。

 収穫としては若手の意識向上や戦力の底上げができた点が挙げられる。

 キャプテンマークを巻いた20歳の高井幸大は、3失点と課題は残るものの、2-3で迎えた後半アディショナルタイムには自慢の高さを活かしてCKからのヘッドで意地の同点弾をマーク。圧巻のゴールであり、視察に訪れた日本代表の森保一監督も評価する出来。リーダーとしての自覚や貫禄が見え始めた印象だ。

 その高井と川崎U-18の同期であるMF大関大翔はボランチとして先発を果たすと、2節前の湘南戦で悔いた決定機逸を改善し、先制ゴールを奪取。攻守にまだまだレベルアップが必要だが、結果でアピールをした。

 そのふたりの後輩である今季アカデミーから昇格した18歳のCB土屋櫂大は、味方の負傷を受けて試合終盤にプロデビュー。2失点に絡み、試合後には涙を見せたが、この経験が今後の糧になるに違いない。

 さらにCBセサル・アイダルは強烈なミドルを突き刺し、怪我明けの37歳FW小林悠は先発で今季初出場。小林は大黒将志コーチと取り組んでいる新たな動き出しに手応えを得ているとも語っており、その成果を近いうちに示してくれそう。他のタレントも含め、チームとして戦力に上積みを加えられたと評せるだろう。

【動画】川崎・高井幸大の同点弾
 一方で勝てば首位浮上のチャンスであったが、2度のリードを得ながら勝ち切れず。後半頭から投入された脇坂泰斗も失点シーンで自らの対応を悔い、反省を口にする。

「僕はハーフタイムから入って、ゲームを勝ちに持っていけなかった責任は自分が大きいのかなと。3失点目にも絡んでしまいましたし、リードしてからの統一をキャプテンとしてあまりできなかったというのがあるので、自分が勝ちのゲームを落としてしまったなと思っています。

 大関の初ゴールだったり、(土屋)櫂大のデビューというなかで、先輩である自分たちがリードしないと、いけない立場なので、彼らはよくやっていたと思うので、自分たちの責任だと感じています。ただ、負けなかったことは次につながると思います。チームのメンタル的にも、負けて終わるのと最後に追いついて終わるのでは全然違います」

 今季はサイドからの守備対応を強化してきたが、後半の2失点はともに相手のクロスから。普段、あまり実戦で組めていなかったメンバーだっただけに難しい面もあっただろうが、失点の仕方も改善点と言えるだろう。

 さらに前節の町田戦で負傷した橘田健人、ジェジエウに加え、先発予定だった宮城天がアクシデントで出場を回避するなど過酷な連戦のなかで怪我人も増えている。

 サウジアラビアに飛ぶまでに控えるのは残り3戦。4月12日の清水戦(アウェー)、4月16日の神戸戦(アウェー)、4月20日の東京V戦(ホーム)だ。

 リーグとACLを並行して戦うチームは、文字通り総力戦として進もうとしている。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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