【岩本輝雄】“いかにポケットを取るか”ってよく言われるけど…ペナ角付近で前を向いた福森の左足は脅威。アーリークロスは効果的だよ

2025年04月07日 岩本輝雄

人に合わせるというより、“合わせやすい”空間を狙う

自慢の左足のキックで山田の先制点をアシストした福森。写真:滝川敏之

[J1第9節]横浜FC 2-0 清水/4月6日/ニッパツ三ツ沢球技場

 昇格組同士の対決。横浜FCと清水の一戦は、2-0で横浜FCが勝利。後半に入って山田のゴールでリードを奪い、終了間際にソロモンの2点目で勝負あり。今季3勝目を挙げた。

 前半は押し込まれた横浜FCだけど、持ち前の堅守でよく耐えていたね。そして後半に均衡を破る。先制点を演出したのが、守備でも奮闘していた福森だ。

 敵陣の左サイドを深くえぐってからの攻撃で、ペナ角付近でバックパスにダイレクトで左足を振る。質の高いクロスに山田が身体をひねりながらヘッドで合わせた。

 みんなも知っているとおり、福森の左足のキックはリーグ屈指の上手さ。僕は一番だと思っている。この先制点が生れたシチュエーションは、彼の武器が存分に発揮されていたよね。まさにピンポイントクロス。人に合わせるというより、"合わせやすい"空間を狙って、そこに入ってきてね、と。見事だったね。

 深い位置でポイントを作って、ゴール前でも誰かがポジションを取って、相手のラインを下げさせて、バックパスからすかさずアーリークロス。これは効果的だし、ペナ角付近で福森を前向きにさせたら、良いボールを入れられるよ。

 僕も左利きだから、よく分かる。あの角度は最高だよ。いろんな状況を確認できるし、あとはどこに蹴るかを決めるだけ。福森の技術なら、どこでも狙えるはずだ。
【動画】キラリと光る福森の左足!山田の先制ヘッド弾をお膳立て
"いかにポケットを取るか"って、よく言われるよね。ペナ内のニアゾーンだ。たしかにそのエリアはゴールに近いから、得点の確率は高まるかもしれない。でも、だからこそ相手はより警戒しているし、そう簡単にはやらせてくれない。

 もっとも、ポケットを取れれば相手のラインも下がるし、つまりはペナ付近でよりスペースもできやすくなる。そこに福森が顔を出せれば、チャンスも作りやすくなると思う。

 横浜FCは得点力が課題だけど、福森が良い状態でクロスを上げられる形を、1つのオプションとして、もっと徹底してもいいと思う。それと彼のサイドチェンジだね。一発で局面を変えられるから。左で起点を作って相手を引き寄せて、右に展開。ウイングバックが受けると同時に、3バックの誰かでもいいし、ボランチかシャドーが絡んでもいいから、2対1の状況を作って、一気に攻め込む。

 開幕当初に比べれば、福森のキックも精度がより高まっている印象がある。セットプレーはもちろん、流れの中でも彼の左足をもっと有効に活用していきたいね。

【著者プロフィール】
岩本輝雄(いわもと・てるお)/1972年5月2日、52歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ/平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた"40メートルFK弾"は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説者や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを研究する日々を過ごす。23年に『左利きの会』を発足。

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