「中心にいたのはタケだった」残酷な幕切れ…王者も“制御不能”の久保建英にソシエダ番記者は喝采「彼のエネルギーが枯渇すると同時に…」【現地発】

2025年04月05日 ミケル・レカルデ

足首の状態が万全でなかった

古巣のマドリーを相手に奮闘した久保。(C)Getty Images

 魔法の夜は深い失望の中で幕を閉じた。戦前、レアル・ソシエダがここまで善戦すると予想する者は少なかったはずだ。フィジカルモンスター揃いのレアル・マドリーを向こうに回して堂々と渡り合ったが、最後の最後で力尽きた。

 勝敗を分けたのは選手層の厚さだった。ソシエダの攻撃が、タケ・クボ(久保建英)のエネルギーが枯渇すると同時に威力を失ったのに対し、マドリーは豪華なカードを次々と投入した。

 4失点を喫したとはいえ、ソシエダはよく守り、素晴らしいサッカーを披露して4点を奪った。あと一歩及ばなかったものの、その激闘はファンの記憶に強烈に刻まれたはずだ。

 そしてその中心にいたのがタケだった。自身を最も奮い立たせるスタジアムで、目いっぱいのプレーを見せた。なぜなら公言することはないが、心の、そして魂の奥底で、彼は白いユニホームを着てこのスタジアムでプレーする夢を追い続けているに違いないからだ。

【画像】激昂したモドリッチが久保建英の首根っこを掴む衝撃シーン
 たしかに前半は試合に入るのに苦労した。カルロ・アンチェロッティ監督がマーク役に指名したフィジカルモンスターの1人、エドゥアルド・カマビンガが壁として立ちはだかった。終了間際にドリブルを仕掛け、ヴィニシウス・ジュニオールに抱きかかえられるような形になって倒れたが、ファウルの笛は鳴らなかった。

 しかしそれは後半の目覚めのシグナルでもあった。チュリウルディンの誰もが熱い視線を注ぎ、もちろんイマノル・アルグアシル監督もその1人だった。

 指揮官も認めていたように、日本代表の試合中に受けたタックルにより、足首の状態が万全でなかったにもにもかかわらず、しかも先制ゴールを決めたアンデル・バレネチェアを早々に交代させる中、ピッチに残したのはランプをこすると精霊が現れるタケのインスピレーションに期待したからに他ならない。

 そしてその読みは的中した。72分、鋭いドリブルで相手の守備陣形を崩し、パブロ・マリンのダビド・アラバのオウンゴールを誘うシュートをお膳立て。その8分後にも縦突破&マイナスのクロスでミケル・オジャルサバルのアラバにディフレクトしてネットを揺らしたゴールをアシストした。
【動画】久保がドリブル突破から鋭い切り返し→絶妙のアシスト

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