鬼木新体制で王者・神戸も下して首位キープ。鹿島絶好調の理由とは

2025年03月29日 本田健介(サッカーダイジェスト)

神戸に1-0で勝利

レオ・セアラのゴールで神戸を下した鹿島。好調を維持する。写真:永島裕基

[J1第7節]鹿島 1-0 神戸/3月29日/県立カシマサッカースタジアム

 まさに絶好調だ。

 リーグ2連覇中の神戸をホームに迎えた一戦、鹿島はFWレオ・セアラのゴールで勝ち切り、開幕7戦での成績を5勝1分1敗として首位の座をキープした。

 川崎で7つのタイトルを獲得してきたクラブOBの鬼木達監督を迎えて新たな船出を切った今季の鹿島は、アウェーでの開幕戦は湘南に敗れたが、その後は無敗街道を力強く走っているのである。

 神戸戦ではロングボールを多用しつつ、流れるようなパス回しも見られるようになるなど川崎で培ってきた技術力を大切にする"鬼木イズム"が徐々に浸透してきた印象だ。

 まだ荒削りな面を多分に残すが、個の顔もしっかり浮かび上がる。ロングボールを正確に収めるL・セアラの存在は大きく、その相棒の鈴木優磨も攻守にフル回転してチームを牽引。

 鬼木体制では4-4-2の右サイドハーフで起用されている小池龍太はバランサーとして素晴らしい出来で、右SB濃野公人のオーバーラップを引き出し、ボランチの軸になりつつある樋口雄太も機動力と技術力を併せ持ったパフォーマンスが光る。神戸戦で樋口とダブルボランチを組んだ舩橋佑も奮闘したと言えるだろう。

 この試合でL・セオラのゴールをロングフィードでアシストしたGK早川友基らを含め、今の鹿島は個々の特長がしっかり表われているのである。

【動画】鹿島のレオ・セアラのゴールシーン
 その点で輝くのは鬼木監督のマネジメント術だ。王者・神戸との試合に向けて指揮官は「アグレッシブに戦うこと、強気にやり切ること」を強調したという。

 大迫勇也、武藤嘉紀らを擁する相手の強力攻撃陣への対応策など細かな戦術も施されたが、何より選手たちのモチベーションを高める手法はさすがであり、個の力を引き出す用兵術も評価されて然るべきだ。

 試合後に常に「選手がよくやってくれた」と労う姿を見れば、教え子たちはその背中を支えたくなるというものだろう。

 確かに攻撃面での理想は川崎時代のように華麗なパスワークで崩し、観ている人たちを魅了する形だろう。一方で相手に決して負けないなど守備でも魅せることを川崎時代も求め、それを鹿島で実践している。

 スタジアムを後にする直前、指揮官は「一歩ずつ、ちょっとずつですね」と笑いながらバスに乗り込んでいった。

 鈴木も「まだまだ」としながら「チームは間違いなく成長しています。ロングボールだけじゃなくて、相手陣に入った時もニアゾーンを取りにく形だったり、少しずつですけど試合で出せるようになったと感じている」と語る。

 伸びしろを十分に残す新生・鹿島。このまま首位を走り、悲願の覇権奪回を果たせるのか注目である。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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