メッシがかつてのマラドーナのように代表に戻って来ることは!?

2016年06月28日 チヅル・デ・ガルシア

「自分には向いていないということだ。もう終わりだよ」――

全ての力を注いでまたしても勝てなかったのだから、心が折れるのも無理はない。しばしの休息を経て、再びメッシが代表に戻って来ることを多くの人が望んでいる。 (C) Getty Images

「自分にとって代表は終わった」
 
 コパ・アメリカ・センテナリオの決勝でPK戦の末にチリに敗れた後、ミックスゾーンに現われたリオネル・メッシは、迷うことなく言い切った。
 
「また負けるなんて、勝てないなんて……。信じられない。(2007年コパ・アメリカを含め)4度の決勝で敗れたんだ。自分には向いていないということだ。もう終わりだよ」
 
 その時、アルゼンチンは夜中の1時半。メッシの突然の代表引退宣言は、優勝を逃したショックを上回るニュースとして一気に広がった。
 
 メッシはPK戦で最初のキッカーとして登場したが、まさかの失敗。その後、PK戦の行方を見守るチームメイトの輪から外れ、何度もユニホームを引っ張り上げて頭を包み込み、現実からの逃避を図っているようだった。
 
 4人目のキッカーとなったルーカス・ビグリアが失敗し、チリのフランスシコ・シルバが最後のPKを成功させて優勝を決めると、メッシはひとりでベンチへ。喜ぶチリの選手たちと交互に、呆然と座り込むメッシの姿が、テレビを通して世界に発信された。
 
 決勝戦の3日前には、メッシがAFA(アルゼンチン・サッカー協会)に対する不満をインスタグラムに投稿したことが大ニュースになっていた。
 
 移動の飛行機が遅れたことについて、「AFAの人たちってもう最低」というコメントを書き込んだメッシは、翌日の記者会見で説明を求められ、次のように話していた。
 
「AFAは、代表チームが必要としていることをきちんとやるべき。僕たちのためだけではなく、今後のためにも」
 
 この言葉の裏に秘められていたのは、今大会期間中、ロジスティック面においてAFA側の不備が目立ったことに対する不満だけではない。
 
 現在、不正疑惑から司法の捜査が入り、そのことが原因でFIFAからも調査団が送られ、事実上機能を果たしていないAFAの現状そのものに対する嘆きと、改善への強い要望が込められていたのである。
 
 メッシが代表引退を示唆した直後、アルゼンチンの新聞記者がツイッターで「やめないで」というサポートの声を募るハッシュタグ(#NotevayasLeo)を拡散させた。
 
 そして、表彰式の前に大粒の涙を流していたメッシの姿を見て、「今すぐ抱きしめてあげたい」という声がSNS上に溢れかえった。
 
 無冠のまま代表を去るのか、それともしばらく考えて、またいつか母国のユニホームを着る日が来るのか。
 
 かつてディエゴ・マラドーナが、代表引退を表明してから3年半後の1993年、アメリカ・ワールドカップ予選で苦戦するチームを救うため復帰したように、アルゼンチンの人々はメッシが再び戻って来てくれることを信じている。
 
文:チヅル・デ・ガルシア
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