ACL2で失意の敗退。だが、立ち止まってはいられない。試されるリバウンドメンタリティ。柏戦に向けて広島の選手たちは何を語ったか

2025年03月15日 寺田弘幸

退場してしまったジャーメイン良は責任を感じていた

ACL2は無念の結果に。広島は力強く立ち上がることはできるか。(C)AFC

 アジア・チャンピオンズリーグ2の準々決勝。第1戦が没収試合となって負った3点のビハインドを、チームは跳ね除けようと第2戦を懸命に戦った。しかし、それは成し遂げられず、広島はやり切れない想いを抱えたままACL2から敗退することになった。

 昨季までプレーヤーとしてグループステージを戦ってきた青山敏弘コーチは、選手の気持ちを代弁するように胸の内を語ってくれた。

「ロッカーで泣いている選手もいたけど、僕もそういう気持ちだった。それぐらいみんなでこの大会に懸けてきたし、ここまで積み上げてきたものも大きかった。今年もずっと連戦でやってきて、まだ一回も負けていない。そういう現実がありながら次に進めないっていうのは、当事者にとっては本当に苦しい」

 どんなに苦しくても、立ち止まってはいられない。青山コーチは選手たちに寄り添って痛みを分かち合い、次の一歩もみんなで踏み出そうとしている。

「僕も気持ちは(選手の)みんなと一緒なんで、同じ目線で話を聞いてるし、僕の思いも伝えているけど、もう本当にどうしようもないことなんで。精神的なダメージは間違いなくあるし、肉体的にも移動もあって疲れは溜まっているけど、そういうのも乗り越えていけば、また強くなっていけると思う。

 明日にチームみんなでどういう戦いができるかは本当に大事。この試合はもしかしたら今年のキーポイントになるかもしれないんで、リバウンドメンタリティを出せるようにみんなでやっていきたい」

 チームは第2戦が終わった日の夜にシンガポールを発ち、13日の朝に帰国。8日にシンガポールに入って準備を進めてきたから4泊6日の遠征だった。疲弊した心身を癒すため14日もオフを取り、選手たちは15日に集まってリーグ戦の柏戦に向けた準備を行なった。

 冷たい雨が降るなかで非公開の練習が終えて取材に応じた選手たちは、必死に前を向こうとしている最中にあるように感じた。

 川辺駿はこう話した。

「もちろんリーグ戦に切り替えてやりますけど、ああいう形でACL2を去るっていうのはモヤモヤする。すっきりしないですけど、もう第2戦目も終わったし、自分たちが点差をひっくり返せなかったのは事実なんで、切り替えてリーグ戦に向かわなきゃいけない。ここからズルズルいくようじゃチームとしてもタイトルを獲るのは難しいと思うんで、これで連戦もラストだし、勝ち切って中断を迎えたい」
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 第2戦で退場してしまったジャーメイン良は責任を感じていた。そして、残りのタイトルに懸ける思いを強くしていた。

「チームみんなでもしっかり話しました。切り替えて残りのタイトルを獲りにいきたいし、秋からACLエリートもあるんで、そこに向けてやっていきたい。ACL2はチームとして本当に獲りたいタイトルだったし、責任を感じています。本当に申し訳ない気持ちがありますけど、自分ができることは、これからピッチで貢献して残りのタイトルを獲れるようにしていくことだけだと思うんで、しっかり切り替えてピッチで表現したいなと思います」

 16日にEピースに迎えるのは柏。リカルド・ロドリゲス監督のもとで好スタートを切っているチームが相手になる。難しい90分間になることは間違いなさそうだが、加藤陸次樹はシンプルに言う。

「一つ言えるのは、戦うことが一番大事だってこと。それをスタートからやろうと思います。(柏は)2トップに当てて後ろの選手が出てくるイメージなんで、2トップに当てさせない守備をできたらいいなと思います」

 失意の敗退から4日後、広島の選手たちはタイトルへの思いをさらに強くしてアグレッシブに戦い抜く。

取材・文●寺田弘幸

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