ラ・リーガではミドルシュートを得意とする選手が必ずいる
CKのキッカーを担うレアル・ソシエダの久保建英。(C)Mutsu FOTOGRAFIA
スペイン人指導者とJリーグの試合映像をスカウティングした時、しばしば指摘される箇所がある。
「コーナーキックの守りで、なぜ守備側はペナルティアークに人を置かないのか?これは失点も同然だ!」
その指摘は理にかなっている。
キッカーが蹴ったボールを、エリア内でどちらのチームの選手がコンタクトするのであれ、どこかにこぼれることが多い。完全にはクリアしきれず、正面にこぼれるケースは少なくないだろう。
スペイン、ラ・リーガではミドルレンジからのシュートを得意とした選手が必ずいる。彼らはスナイパーのような命中度で、こぼれ球を撃ち抜ける。つまり、直接エリア内のヘディングやボレーで合わせるのと同じように、得点の可能性があるのだ。
だからこそ、スペイン人指導者はペナルティアークに人を置かないセットプレー戦術に疑問を呈するのだろう。
もっとも、Jリーグではそこまでのミドルを打てる選手が少なかった。その結果、エリア内の人数を増やす、ということがベースになってきた。より危ない方を守るのは必然の流れだった。
しかしながら、昨今はJリーグにもミドルを狙える選手が増えてきた。勝負を分けるきっかけになっているのだ。
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「コーナーキックの守りで、なぜ守備側はペナルティアークに人を置かないのか?これは失点も同然だ!」
その指摘は理にかなっている。
キッカーが蹴ったボールを、エリア内でどちらのチームの選手がコンタクトするのであれ、どこかにこぼれることが多い。完全にはクリアしきれず、正面にこぼれるケースは少なくないだろう。
スペイン、ラ・リーガではミドルレンジからのシュートを得意とした選手が必ずいる。彼らはスナイパーのような命中度で、こぼれ球を撃ち抜ける。つまり、直接エリア内のヘディングやボレーで合わせるのと同じように、得点の可能性があるのだ。
だからこそ、スペイン人指導者はペナルティアークに人を置かないセットプレー戦術に疑問を呈するのだろう。
もっとも、Jリーグではそこまでのミドルを打てる選手が少なかった。その結果、エリア内の人数を増やす、ということがベースになってきた。より危ない方を守るのは必然の流れだった。
しかしながら、昨今はJリーグにもミドルを狙える選手が増えてきた。勝負を分けるきっかけになっているのだ。
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例えばJ1からJ2へ降格したサガン鳥栖は、この手の失点が少なくなかった。
昨季の27節、北海道コンサドーレ札幌戦では右からのFKに対し、一度はディフェンスがヘディングでクリアするも、そのこぼれをスパチョークに正面から叩き込まれている。アークを守っていれば、簡単に防げたシーンだろう。
33節、FC東京戦は左CKが中央でスクランブル状態になるが、そのこぼれをやはり高にミドルで叩き込まれている。繰り返すが、アークをケアできていない。そして35節のFC町田ゼルビア戦は勝利したが、左CKからこぼれをドレシェビッチに豪快ミドルで決められている。またも、完全にフリーで打たれているのだ。
これだけ同じような失点を繰り返し、何ら修正の手を打てていなかった。その時点で、戦況はかなり厳しいと言える。たとえ失点にはならなくても、セットプレーのたび、鳥栖は失点の危機感が走っていたが、それはアークでの守備も含め、全体に透徹した"守りの原則"に見落としがあったからだ。
サッカーでは必ずミスがある。それを集中していない」「身体を張るべき」という精神論に落とし込んでいる限り、改善はできない。ミスに対し、論理的な対応ができなければ、同じことを繰り返すことになるのだ。
Jリーグには、ミドルを叩き込めるだけの選手が増えてきた。これがさらに守備の改善も生み、レベルアップにつながるだろう。盾と鉾がぶつかり合い、サッカーは進歩するのだ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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33節、FC東京戦は左CKが中央でスクランブル状態になるが、そのこぼれをやはり高にミドルで叩き込まれている。繰り返すが、アークをケアできていない。そして35節のFC町田ゼルビア戦は勝利したが、左CKからこぼれをドレシェビッチに豪快ミドルで決められている。またも、完全にフリーで打たれているのだ。
これだけ同じような失点を繰り返し、何ら修正の手を打てていなかった。その時点で、戦況はかなり厳しいと言える。たとえ失点にはならなくても、セットプレーのたび、鳥栖は失点の危機感が走っていたが、それはアークでの守備も含め、全体に透徹した"守りの原則"に見落としがあったからだ。
サッカーでは必ずミスがある。それを集中していない」「身体を張るべき」という精神論に落とし込んでいる限り、改善はできない。ミスに対し、論理的な対応ができなければ、同じことを繰り返すことになるのだ。
Jリーグには、ミドルを叩き込めるだけの選手が増えてきた。これがさらに守備の改善も生み、レベルアップにつながるだろう。盾と鉾がぶつかり合い、サッカーは進歩するのだ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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