【EURO 今日は何の日】6月23日「EURO史に残る“マルセイユの夜”(84年)」

2016年06月23日 サッカーダイジェストWeb編集部

延長戦で勝ち越されたフランスが演じた残り6分間でのドラマ。

4試合連続での決勝点を劇的なかたちで挙げたプラティニの歓喜の疾走。 (C) SOCCER DIGEST

 1984年、自国開催のEUROでフランスは、快進撃を繰り広げていた。
 
 開幕戦でデンマークを1-0で下し、ベルギーには5-0の大勝、ユーゴスラビアにも3-2で勝利して周囲での準決勝進出を果たした。この全ての試合でミシェル・プラティニは決勝ゴールを挙げ、すでに7得点(!)を挙げていた。
 
 そして迎えたポルトガルとの決戦。6月23日、マルセイユ・ヴェロドロームのスタンドは超満員の観客で埋め尽くされ、無数の鮮やかなトリコロールが舞い続けた。
 
 EURO本大会初出場のポルトガルは、グループステージで西ドイツ(0-0)、スペイン(1-0)に引き分け、最終節でルーマニアを1-0で下して準決勝に進出してきた。メジャー大会でのベスト4入りは、エウゼビオを擁した66年イングランド・ワールドカップ以来である。
 
 試合は圧倒的有利とされていたフランスが、24分にペナルティエリア手前でFKを得る。ポルトガルGKのベントはプラティニを注視したが、蹴ったのはDFのファン=フランソワ・ドメルグ。虚を突かれたベントは、ボールがネットに突き刺さるのを、ただ見守るだけだった。
 
 頭脳プレーで先制したフランス。ここからさらに勢い付くかと思われたが、ポルトガルの堅い守備と厳しいプレッシャー、そしてシャラーナ、ルイ・ジョルダンらによる鋭いカウンターに苦しめられる。
 
 後半になると、ポルトガルのカウンターはさらに威力を増していき、74分、シャラーナのクロスから、ジョルダンがヘディングシュートを放って、ついに同点とする。
 
 試合は延長戦に突入。開始から8分、ヴェロドロームに衝撃が走った。攻勢に立ったポルトガルが、ジョルダンのボレーシュートによって勝ち越しゴールを挙げたのだ。
 
 追う側に回ったフランスは、選手交代で状況打破を試みるが、焦って空中戦を仕掛けてはね返されるなど、ゴールに迫れないまま延長後半に入る。しかし、敗北が頭にちらつき始めた114分、待望のゴールは生まれた。
 
 ゴール前に強引に突き進んだプラティニからドメルグにパスが出る。この日が誕生日だったDFは、先制点に続き、起死回生の同点弾を放った。
 
 一気にヒートアップしたフランス。そして、さらなる盛り上がりが数分後に待っていた。PK戦突入まで1分を切った時、MFジャン・ティガナがドリブルで右サイド深くに入り込み、マイナスのパス。その先には、フリーのプラティニが待っていた。
 
 彼が難なくこれをネットに突き刺すと、スタンドは耳をつんざく大歓声と、激しく打ち振られるトリコロールで包まれた。
 
 劇的な逆転勝利。フランスはこの大会、最大のヤマ場を乗り越えて決勝へ進出した。そして後に、パリで栄光の瞬間を迎えることとなる。

◎6月23日に行なわれた過去のEUROの試合
◇1984年フランス大会
準決勝
フランス 3(延長)2 ポルトガル
 
◇1996年イングランド大会
準々決勝
ドイツ 2-クロアチア
チェコ 1-ポルトガル
 
◇2004年ポルトガル大会
グループステージ
オランダ 3-ラトビア
チェコ 2-ドイツ
 
◇2012年ポーランド・ウクライナ大会
準々決勝
スペイン 2-フランス
 
※日付は全て現地時間

【回想】スペインとイタリアの激闘(08年)
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