福島で過ごした1年が転機に――シリア戦では貴重な同点弾、U-20アジア杯で攻守に躍動する大関友翔が示した特大の存在感【現地発】

2025年02月18日 松尾祐希

「前に入っていくところは意識していた」

24分にゴール前に上がってボレーを叩き込んだ大関。写真:佐藤博之

[U-20アジア杯]日本 2-2 シリア/2月17日/Longhua Cultural and Sports Centre Stadium

 3-0で快勝したタイとの初戦から中2日。中国で開催されているU-20アジアカップ(U-20ワールドカップのアジア最終予選)を戦っているU-20日本代表は、2月17日に第2戦でシリアと対戦した。勝利すれば、グループステージ突破が決まったが、結果は2-2のドロー。2度リードを許す展開となり、ゲーム内容でも多くの課題を残した。

 試合後には誰もが反省を口にしたなか、ポジティブな要素もある。そのひとつが10番を背負うMF大関友翔(川崎)のパフォーマンスだ。

 3-4-2-1のボランチでスタメン出場を果たすと、正確な技術を活かしてパスを供給すれば、ポジショニングが良く、3列目から前線に顔を出すタイミングも絶妙だった。とりわけ、見事だったのが0-1で迎えた24分の同点弾だ。敵陣ボックス内で右サイドから上がったクロスのこぼれ球に反応し、左足のボレーでネットを揺らしてみせた。

「前に入っていくところ、クロスに入っていくところは意識していた部分。上手く左足を振れたので良かった」

 本人が冷静に振り返ったとおり、敵陣ペナルティエリア内にいたからこそ生まれた得点。3列目からゴール前に入っていくプレーに関しては「フロンターレに帰っても継続したい」と話しており、手応えを掴む貴重な同点弾となった。

 攻撃面で良さを発揮した一方で、成長の跡を示した守備面も見逃せない。豊富な運動量でピッチを駆け回り、味方が攻め上がった際には的確な位置取りで空いたスペースをカバー。最後まで足は止まらず、献身性は抜群だった。
【動画】10番・大関友翔のボレー弾!
「90分間走れるようになったのは昨季、福島にレンタル移籍したから。そこでゲーム体力をつけたことが1番の要因です」

 昨季は慣れ親しんだ川崎を離れ、J3の福島ユナイテッドFCでプレー。32試合に出場して8ゴールをマークし、1年を通じて安定したパフォーマンスを見せた。レギュラーとして1シーズン戦った経験は大きく、武者修行に出たことがシリア戦の出来に繋がったと言える。

 ただ、課題もあった。先制を許した10分の場面に関与。センターサークル付近で与えたFKを素早くリスタートされ、そのままゴール前に運ばれて失点した。このシーンについて次のように反省する。

「1失点目に関してはリスタートのところを簡単にやらせすぎたので反省しないといけない。自分が1番近くにいたので、止めるなりしないといけなかった」

 相手のクイックスタートを阻止する方法はあったはずで、一瞬の隙を突かれないようにするための方策も必要不可欠だった。それ以外でもボール奪取には課題が残り、「小倉(幸成)に任せきりにするのではなく、自分でボールを取れるようにしたい。ワールドカップに行くためにはもっとやらないといけない」と口にした。

 1勝1分でグループ2位の日本は最終節で、すでにノックアウトステージ行きを決めている韓国と激突する。上位4か国に与えられるワールドカップ出場の権利を得るためにも、まずはグループステージを突破しなければならない。攻守両面で進化を続ける背番号10は覚悟を持って、運命の日韓戦に臨む。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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