「僕自身も驚いた」英国を興奮させたスーパーゴール。三笘薫は何を考えてプレーしていたのか。冷静に振り返った22番が“はにかんだ瞬間”「奥様へのバレンタインプレゼントになるのでは?」【現地発】

2025年02月17日 松澤浩三

「ファーストタッチだけ意識しました」

試合後にスーパーゴールを振り返った三笘。(C)Getty Images

 2月14日。寒空のバレンタインデーの夜に行われたホームでのチェルシー戦。前半27分にその場面が訪れた。スタジアムにいた誰もが三笘薫のスーパープレーに驚き、興奮した。記者席にいた多くの現地記者も目を丸くしながらビデオリプレーを見直し、驚嘆の声を重ねた。

 タイトなプレッシングを仕掛けてくるチェルシーに対抗するために、この日のブライトンはロングボールを多用した。相手の強力攻撃陣をしっかりと止めて、後方からの精度の高いフィードで一気にチェルシーゴールに襲い掛かる。この作戦がピタリとハマり、奏功した。

「つなげればつなぎたいところはありますけど、あそこまでプレスをかけられると逆にマイボールの方が嫌ですし。監督もポジショニングのところをすごく言っているので、そういった面では前線の4人のポジショニングっていうのは非常に良かったと思いますね」

 背番号22のゴールが生まれたのもそこからだった。GKバルト・フェルブルッヘンの右足から、夜空に高く上がったロングボール。前線に飛び出した三笘は2人のDFに張り付かれながら上空を見上げていた。 

 ボールが落ちてくると鮮やかなファーストタッチで勢いを殺し、素早くトレバー・チャロバ―を抜き去って右足を振り抜いた。横っ飛びしたGKフィリップ・ヨルゲンセンの左手にわずかに触れたボールはゴールネットに突き刺さり、スタジアムのブライトンサポーターは喜びを爆発させた。
【動画】三笘薫が超絶トラップから衝撃のスーパーゴール
 試合後の囲み取材、筆者は本人の頭にはいつからあの"ゴールの形"が思い描かれていたのかが気になり、「ボールが宙にある時から、ある程度の狙いが定まっていたのか」と聞いてみた。

「いや、どこに落ちてくるかわからなかったので。もう走りながら、でもスプリントのところで、ちょうどいいところに来たんで。ファーストタッチだけ意識しましたね。そこがうまくいけば、その後はどうにかできるかなと思ってました」

 そして次のように付け加えた。

「練習でもああいうのをやってますし、過去でも何回もやってるんで。得意なところありますし、逆にああいうところだと相手の方が警戒していないことがあるんで、逆にチャンスかなと思ってました」
 
 同試合を放送していたスカイスポーツで解説を務めたジェイミー・キャラガー氏が「メッシのようだ、まさに天才」と称賛すれば、ガリー・ネビル氏も「スペシャルゴール、ベルカンプを彷彿させる」と口をあんぐりさせたほど。この一撃は瞬く間に話題をさらった。

 自身にとって今季最高のゴールかと質問された三笘は「そうだと思いますね。クオリティの面からすれば」と話し、こう振り返った。

「ツータッチ目をすぐに触れれば、やっぱり方向転換できるところがあったんで。スペースは認知していたので、どうやってシュートに行くかってところで、相手も選手速いですし、あのタイミングでしか打てなかったかなと思う。タッチのところは全部完璧でしたけど、少しでもずれてればやっぱ難しいとこあったと思いますね」
 

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