【EURO】暗い影を落とすロシアのフーリガン問題。現地取材“皆勤”の名物コメンテーターでさえ、2年後のW杯行きを断固拒絶!

2016年06月21日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

「絶対に」を強調しており、梃子でも動かないつもり。

ロシアのフーリガン(左)のこうした無法な暴力行為で、グリーンさん(右)の決断が注目を集めることに。(C)Getty Images

 ロシアのフーリガンによる無法な暴力行為のおかげで、あるサッカーコメンテーターの決断が注目を集めている。ほぼラジオ一筋で活躍してきたベテランコメンテーターの、ある意味では苦渋とも言える決断だ。
 
 思いがけず話題の提供者となっているのは、イギリスの公共放送『BBC』でコメンテーターを務めているアラン・グリーンさん。
 
 御年63歳のグリーンさんはBBCラジオのコメンテーターとして、長年に渡ってサッカーの主要国際大会を報じてきた。ワールドカップやEUROの現場を取材で訪れるグリーンさんの"皆勤"は、1982年のワールドカップを皮切りに30年をはるかに超えている。
 
 少しずつそんなキャリアを積み上げてきたグリーンさんだが、2年後のワールドカップには行かないとすでに宣言している。
 
 理由は単純で、開催国がロシアだから。はっきり言えば、安全面の不安からだ。グリーンさんの決意は固いようで、BBCラジオの番組制作者には契約更新の席上で辞退の意思を伝えているという。しかも「絶対に」を強調しており、梃子でも動かないつもりらしい。
 
 ロシアのフーリガンに対するグリーンさんの恐怖心は、EURO2016での騒動から生まれたものではない。いまからおよそ8年前の08年5月に、モスクワでのチャンピオンズ・リーグ(CL)決勝――延長、PK戦の末、マンチェスター・Uがチェルシーを下したプレミアリーグ対決――を取材した際の、身の毛がよだつような記憶がいまでも残っているようだ。グリーンさんはこう振り返る。
 
「あの試合を取り巻くあらゆる雰囲気が、恐ろしかった。こう思ったよ。もうここには戻ってきたくないってね」
 
 18年ワールドカップの開催国がロシアに決定したのは、モスクワでのCL決勝から2年半後の10年12月。その時点でグリーンさんは、取材断固拒絶の覚悟を固めていたようだ。皆勤よりも大切なのは身の安全なのだから。
 
 ロシアのフーリガンが暴れ回った今回の騒動の余波で、思いがけず英国メディアの取材を受ける立場となったグリーンさんは、実は率直なスタイルのコメンタリーで知られており、敵も少なくない。
 
 とくに有名なのが、マンチェスター・Uの監督として長期政権を築いたアレックス・ファーガソンとの長年に渡る確執で、取材現場への出入り禁止など武勇伝には事欠かない猛者なのだ。
 
 そんなグリーンさんが絶対に行きたくないロシアって……。2年後のワールドカップは本当に開催できるのか!?

文:ワールドサッカーダイジェスト編集部
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事