FC東京対新潟戦で生まれた妙な先制点。守備側へ不利に働くルールの“なぜ”

2016年06月20日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

“ノーガード”に近い状態でリスタートするのは…

FC東京の守備陣形が整う前に、新潟はリスタートから成岡(18番)のゴールで先制。オフェンス側にとっては「幸運」と言えるのに対し、ディフェンス側には明らかに不利なルールだが……。写真:J.LEAGUE PHOTOS

 6月18日のFC東京対新潟で生まれた先制点は、妙な形だった。
 
 23分、FC東京陣内へ攻め込んだ新潟の山崎亮平がエリア手前からシュート。DFに当たり高くバウンドしたボールをGK秋元陽太が難なくキャッチし、そこから組み立てに入ろうとしていた矢先だった。
 
 突如、主審のホイッスルが鳴り響き、新潟に間接FKが与えられたのだ。素早いリスタートを狙った新潟の山崎は、秋元が保持していたボールを奪い取り、エリア内でボールをセット。この時点で、FC東京DF陣がゴール前に戻り切れていなかったため、山崎からパスを受けた成岡翔は難なくゴールネットを揺らした。
 
 一瞬目を疑いたくなるような光景だったが、ゴールの判定。「してやったり」と喜ぶ新潟イレブンに対し、FC東京側は審判へ猛抗議したが、判定は覆らなかった。
 
 反則と見なされたのはGKが6秒以上ボールを保持していた、いわゆる「6秒ルール」。実際秋元は、一度ボールを蹴ろうと見せかけてその動作を止めており、6秒に達していた可能性は高い。当の本人は試合後、「自分の不注意だった」とも述べている。
 
 FC東京側にとって腑に落ちなかったのは、むしろ、そのあとのリスタートに対する措置だったに違いない。
 
 競技規則によると、間接FKの場合はレフェリーのホイッスルで再開しなければならない義務はなく、笛が鳴らなくてもリスタートは可能だ。つまり、これも「規則通り」ということになる。
 
 そうとは言っても、守備体制が整っていない"ノーガード"に近い状態でリスタートさせるのには、やはり違和感が拭えない。そもそも、このルールがなぜ成り立っているのかは定かではないが、審判のルールに詳しい石井紘人氏は、「近年、攻撃側に有利に働くようなルール改正が進んでいる背景も多少絡んでいるのでは」との見解を示している。
 
 いずれにせよ、この試合を観ていた大半の人々(特にFC東京サポーター)が不可解だと感じていたのは試合後、審判団に大ブーイングが浴びせられた事実からも明らかだった。
 
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