日本サッカー界のレジェンドである中田英寿氏は、29歳の若さで現役生活に終止符を打った。

　1998年にセリエAのペルージャに移籍して以降、イタリアとイングランドで長年活躍した中田氏は、2006年のドイツ・ワールドカップ終了後に引退。その決断は世界を驚かせた。

　中田氏はイタリアのメディア『Rivista Undici』のインタビューで、何が引退に向かわせたのか問われると、「自分がサッカーを始めたのは、まだJリーグもなかったころだった」と話している。

「日本はワールドカップに出たことがなく、プロになる夢もなかった。二次的な目的なしに、好きだからというだけでプレーしていた。でも近年、サッカーはどんどん大きなビジネスになっていった。プロの世界に新しい人がたくさん入ってきた。そういったすべてが、キャリアにおいて自分を導いてきた喜びを奪ったんだ」

　選手生活にピリオドを打ってから、中田氏は世界を旅して周った。「世界に自分の居場所を見つける必要があった。好きなことを見つけ、次の人生で自分に何ができるか理解する必要があった」と振り返っている。

「３年かけて100か国以上を訪れ、自分がやりたいことを絶えず探した。そしてまさに日本から遠く離れたことで、自分のルーツ、起源を見つけたんだ。外国でしばしば、自分の国に関する質問や好奇心に応じられないことがあった。自分の国と文化を再発見する必要があると思ったんだ。とても若いころに日本を離れたから、多くを失っていたんだ」

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　日本文化の継承や発展を目指し、実業家として新たなフィールドに臨んだことは周知のとおりだ。

　中田氏は「日本に戻ったときに、自分たちの文化の起源はなんだろうと思うようになった。国の現実はそれぞれが伝統、風習、習慣に満ちあふれた独特な小宇宙だ。47都道府県を旅して、人々の日常生活に浸り、農家や日本酒造りの職人と密に関わることに決めた」と話している。

「７年旅して、この古くからの伝統にほれ込み、彼らとの仕事を始めると決めた。常に市場の進化を注視しながらね。サッカー界での過去のおかげで、自分は世界的に日本製品を宣伝するためのユニークな立場にあると思う。自分のビジネスプロジェクトのすべては、伝統を守り、農家や職人たちの仕事の価値を高めたいという思いが核になっていると強調しておきたい」