【EURO2016】英雄シェフチェンコの幻影を払拭できなかったウクライナ

2016年06月17日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

ダークホースに推す声もあったウクライナだが……

このコノプリャンカら優秀なタレントを擁していたが、「絶対的なストライカー」の不在が響いた。 (C)Getty Images

 EURO2016の舞台から、どこよりも早く撤退することが決まったのが、ウクライナだ。
 
 6月16日のグループステージ2節、初出場の北アイルランドに0-2で敗れて開幕2連敗となったウクライナは、直後に行なわれた同組(グループC)のドイツ対ポーランド戦が引き分けに終わったことで、決勝トーナメント進出の可能性が消滅。
 
最終戦の結果次第では北アイルランドと勝点で並ぶ可能性もあるが、同勝点の場合は当該チーム同士の対戦結果が優先されるため、グループ最下位が確定してしまったのだ(編集部・注/参加国が24に増えた今大会では、各グループの上位2か国に加え、3位チームの成績上位4か国も決勝トーナメントに進出できる)。
 
 では、今大会のダークホースに推す声もあったウクライナは、なぜ早期敗退を余儀なくされたのか。
 
 初戦のドイツ戦は、0-2で敗れはしたものの、ポテンシャルの高さは十分に伝わってきた。昨シーズンのセビージャで自信を深めたコノプリャンカ、今夏の移籍市場を賑わすヤルモレンコが両翼から仕掛けるアタックはスピーディーかつ重厚で、とりわけ前半は世界王者ドイツに何度となく冷や汗をかかせた。
 
 相手GKが"驚異的"としか表現しようのないビッグセーブを連発した名手ノイアーでなければ、あるいは36分のボアテングのスーパークリアがなければ、少なくとも勝点1は奪えた試合だっただろう。実際、ゴールの予感は、そこかしこに漂っていた。
 
 だが、予感は予感のままで終わる。
 
 北アイルランド戦にしても、主導権を握っていたのはウクライナだった。しかし、攻めても攻めてもゴールは遠く、初出場国に歴史的なEURO初勝利を献上している。

 2試合連続でセットプレーから先制を許し、終了間際にカウンターでダメを押されるという"若さ"もさることながら、やはり最大の敗因は「絶対的なストライカーの不在」、これに尽きるだろう。
 
 アンドリー・シェフチェンコ――。
 
 2006年ドイツ・ワールドカップの予選で6ゴールを挙げ、ウクライナを初の本大会出場に導いた稀代のストライカーは、その本大会でもチームを力強く牽引し、ベスト8進出の立役者となった。さらに4年前の自国開催(ポーランドとの共催)のEUROでも、初戦のスウェーデン戦で2ゴールをマークし、祖国に歴史的な1勝をもたらしている。
 
 そんな英雄シェバの幻影に、今もウクライナは苦しめられているのかもしれない。
 
 EURO2012を最後にシェバが引退すると、2014年のブラジル・ワールドカップは予選敗退。現時点で、4年前のEUROでシェバが挙げた2ゴールが、ウクライナのメジャートーナメントにおける最後のゴールとなっている。
 
 やはり、国外の主要リーグで得点王争いに加われるようなストライカーの育成が、今後の最重要課題であることは間違いない。
 
 果たして、今回のあまりにも早すぎる撤退を、現代表チームのアシスタントコーチとしてベンチに座るシェフチェンコは、どんな気持ちで受け止めているのだろうか。
 
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事