世界に認知されるきっかけとなった３発＆DFの頭上を抜く一撃。
85-86シーズンには欧州の得点王にも輝き、アヤックス時代には絶対的エースとして欧州カップ獲得の原動力になったファン・バステンだが、ここで真の世界デビューを果たした。 (C) Getty Images
EURO88、優勝候補のオランダとイングランドは、ともに初戦を落としていた。オランダはソ連と好勝負を演じ、幾度も得点機を得ながらも、相手の好守にその全てを阻まれた。イングランドは初出場アイルランドに、ミスを突かれて敗れている。
２戦目で両者は対峙。負ければもちろん、引き分けでも苦しい状況となる大事な一戦で、最初にチャンスを得たのはイングランド。７分、オランダDF陣の連係ミスでこぼれたボールをガリー・リネカーが角度のない位置から押し込むも、ボールはポストを叩いた。
その後、スコアレスの状況が続くが、前半終了間際に試合は動く。ルート・フリットが左から入れたクロスをマルコ・ファン・バステンが足元に収め、鋭い切り返しでマーカーを振り切って名GKピーター・シルトンの牙城を破った。
後半に入ってから10分、イングランドは闘将ブライアン・ロブソンがリネカーとのワンツーで抜け出し、強引にゴールに流し込んで追い付く。
しかし、オランダはファン・バステンが勢いに乗った。72分、ヤン・ヴォウタースのミドルが相手に当たってはね返ったところをフリットが拾い、素早くスルーパス。これを受けたファン・バステンは、難なくゴールに突き刺した。
さらにその４分後、CKをヴィム・キーフトがバックヘッドで流すと、後方でファン・バステンが右足を一閃。角度のない位置からのシュートは、またもゴールネットを揺らし、粘るイングランドを振り切った。
大会前は、ヨーン・ボスマンに次ぐ２番手の存在とされていたファン・バステン（ソ連戦ではスタメンを外れた）が、初の大舞台でその得点力を存分に見せつけた一戦。以後、世界一のストライカーとして君臨していく彼が、世界に認知された瞬間だった。
この日から８年後、EURO96ではイングランドとスコットランドの伝統の一戦が、聖地ウェンブリーで行なわれた。
自国開催のこの大会で初の欧州制覇を狙うイングランドは、初戦をスイスと引き分けており、このライバルとの２戦目では勝利だけが求められた。そしてそれは、初戦でオランダと引き分けたスコットランドも同様だった。
試合は一進一退の攻防が繰り広げられ、スコアレスで後半に入る。そして53分、ガリー・ネビルのライナー性のクロスを、アラン・シアラーが角度のない位置から確実にヘッドで決めて先制点を奪う。
その後、イングランドはテディ・シェリンガムが、スコットランドはゴードン・デューリーが、惜しいヘディングシュートを放つも、それぞれGKの好セーブに阻まれた。
76分、スコットランドはデューリーがペナルティエリア内で倒されてPKを得る。決めれば、一気に流れを引き寄せられただろうが、ガリー・マカリスターのキックを、GKデイビッド・シーマンは見事な読みで防いでみせた。
それから３分後、この大会、いやEUROの歴史においてもハイライトシーンとなるゴールが生まれた。
ダレン・アンダートンの縦パスで前に抜け出たポール・ガスコインが、寄せてきた相手DFコリン・ヘンドリーに対し、ボールを浮かせてその頭上を越し、そのままボレーでスコットランド・ゴールに叩き込んだのだ。
この美技弾で追加点を挙げたイングランドは伝統の一戦を制し、準決勝まで勝ち進んだ。最後はドイツにPK戦の末に敗れたものの、これが68年大会（この時は３位決定戦も行なわれて勝利）と並んでEUROにおけるイングランドの最高成績となっている。
◎６月15日に行なわれた過去のEUROの試合
◇1988年西ドイツ大会
グループステージ
オランダ ３-０ イングランド
アイルランド １-１ ソ連
◇1992年スウェーデン大会
グループステージ
ドイツ ２-０ スコットランド
オランダ ０-０ CIS
◇1996年イングランド大会
グループステージ
イングランド ２-０ スコットランド
フランス １-１ スペイン
◇2000年ベルギー・オランダ大会
グループステージ
スウェーデン ０-０ トルコ
◇2004年ポルトガル大会
グループステージ
チェコ ２-１ ラトビア
ドイツ １-１ オランダ
◇2008年オーストリア・スイス大会
グループステージ
スイス ２-０ ポルトガル
トルコ ３-２ チェコ
◇2012年ポーランド・ウクライナ大会
グループステージ
フランス ２-０ ウクライナ
イングランド ３-２ スウェーデン
※日付は全て現地時間
２戦目で両者は対峙。負ければもちろん、引き分けでも苦しい状況となる大事な一戦で、最初にチャンスを得たのはイングランド。７分、オランダDF陣の連係ミスでこぼれたボールをガリー・リネカーが角度のない位置から押し込むも、ボールはポストを叩いた。
その後、スコアレスの状況が続くが、前半終了間際に試合は動く。ルート・フリットが左から入れたクロスをマルコ・ファン・バステンが足元に収め、鋭い切り返しでマーカーを振り切って名GKピーター・シルトンの牙城を破った。
後半に入ってから10分、イングランドは闘将ブライアン・ロブソンがリネカーとのワンツーで抜け出し、強引にゴールに流し込んで追い付く。
しかし、オランダはファン・バステンが勢いに乗った。72分、ヤン・ヴォウタースのミドルが相手に当たってはね返ったところをフリットが拾い、素早くスルーパス。これを受けたファン・バステンは、難なくゴールに突き刺した。
さらにその４分後、CKをヴィム・キーフトがバックヘッドで流すと、後方でファン・バステンが右足を一閃。角度のない位置からのシュートは、またもゴールネットを揺らし、粘るイングランドを振り切った。
大会前は、ヨーン・ボスマンに次ぐ２番手の存在とされていたファン・バステン（ソ連戦ではスタメンを外れた）が、初の大舞台でその得点力を存分に見せつけた一戦。以後、世界一のストライカーとして君臨していく彼が、世界に認知された瞬間だった。
この日から８年後、EURO96ではイングランドとスコットランドの伝統の一戦が、聖地ウェンブリーで行なわれた。
自国開催のこの大会で初の欧州制覇を狙うイングランドは、初戦をスイスと引き分けており、このライバルとの２戦目では勝利だけが求められた。そしてそれは、初戦でオランダと引き分けたスコットランドも同様だった。
試合は一進一退の攻防が繰り広げられ、スコアレスで後半に入る。そして53分、ガリー・ネビルのライナー性のクロスを、アラン・シアラーが角度のない位置から確実にヘッドで決めて先制点を奪う。
その後、イングランドはテディ・シェリンガムが、スコットランドはゴードン・デューリーが、惜しいヘディングシュートを放つも、それぞれGKの好セーブに阻まれた。
76分、スコットランドはデューリーがペナルティエリア内で倒されてPKを得る。決めれば、一気に流れを引き寄せられただろうが、ガリー・マカリスターのキックを、GKデイビッド・シーマンは見事な読みで防いでみせた。
それから３分後、この大会、いやEUROの歴史においてもハイライトシーンとなるゴールが生まれた。
ダレン・アンダートンの縦パスで前に抜け出たポール・ガスコインが、寄せてきた相手DFコリン・ヘンドリーに対し、ボールを浮かせてその頭上を越し、そのままボレーでスコットランド・ゴールに叩き込んだのだ。
この美技弾で追加点を挙げたイングランドは伝統の一戦を制し、準決勝まで勝ち進んだ。最後はドイツにPK戦の末に敗れたものの、これが68年大会（この時は３位決定戦も行なわれて勝利）と並んでEUROにおけるイングランドの最高成績となっている。
◎６月15日に行なわれた過去のEUROの試合
◇1988年西ドイツ大会
グループステージ
オランダ ３-０ イングランド
アイルランド １-１ ソ連
◇1992年スウェーデン大会
グループステージ
ドイツ ２-０ スコットランド
オランダ ０-０ CIS
◇1996年イングランド大会
グループステージ
イングランド ２-０ スコットランド
フランス １-１ スペイン
◇2000年ベルギー・オランダ大会
グループステージ
スウェーデン ０-０ トルコ
◇2004年ポルトガル大会
グループステージ
チェコ ２-１ ラトビア
ドイツ １-１ オランダ
◇2008年オーストリア・スイス大会
グループステージ
スイス ２-０ ポルトガル
トルコ ３-２ チェコ
◇2012年ポーランド・ウクライナ大会
グループステージ
フランス ２-０ ウクライナ
イングランド ３-２ スウェーデン
※日付は全て現地時間