リオ五輪の最終メンバー入りへ。橋本拳人の成長速度にFC東京コーチも太鼓判

2016年06月16日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「拳人はボックス・トゥ・ボックスで勝負できる数少ない選手」(安間コーチ)

本職のボランチだけでなく、右SBとしても進化を続ける橋本。安間コーチもその成長スピードには舌を巻く。 写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[J1・第1ステージ10節]FC東京1-1広島 6月15日/味スタ
 
 66分に守備を崩されて広島に先制を許し、FC東京としては嫌な流れになりかけていた。そんなチームを救ったのが橋本拳人だった。
 
 その3分後、高橋秀人のサイドチェンジを受けた河野広貴がペナルティエリア右隅から左足を振り抜くと、それと同時にニアへ動き出していた橋本が右足でダイレクトシュート。今季初得点は、城福浩監督も「見事なプレーの連続で点を取ってくれた」と評する貴重な同点弾となった。
 
「普通なら自分のポジションに戻るところを、少し(河野の動きを)見ていたので、(ボールに)合わせるのは難しかったです。でも、クロスに飛び込んだり、崩れた体勢でもシュートを打てるのは自分の武器でもある。(浅野拓磨のゴールで)火が付いて、自分が返してやろうという気持ちになった。点を取りたい気持ちがあったから、あそこに動いたのかなと思います」
 
 本職はボランチだが、広島戦は右SBで出場し、これでSB起用は公式戦5試合連続となった。ACLラウンド16の上海上港戦では裏を取られる場面が散見されたが、G大阪戦で宇佐美貴史、磐田戦でアダイウトンら強烈なアタッカーと対峙してきたことで、徐々に1対1の間合いを掴み、SBの守備が板に付いてきた。安間貴義コーチ(兼FC東京U-23監督)も橋本の成長を嬉しそうに語る。
 
「拳人は試合に出るごとに学習して、それを次に生かせる。広島戦でも相手に食らい付きながらの守備で、足の使い方(ステップ)がとても良かったですね」
 
 安間コーチによれば、小平グラウンドで自主トレを行なっているマインツの武藤嘉紀が、ブンデスリーガでは「走る」、「球際で戦う」、「チームのためにハードワークする」ことができなければ、サポーターからも認められないと話す一幕があったという。それになぞらえて言えば、その3箇条にプラスアルファでフィジカルも兼ね備えた橋本は、世界と戦える可能性を秘めていると言って良いだろう。
 
「拳人はボックス・トゥ・ボックスで勝負できる、国内では数少ない選手だと思います」(安間コーチ)
 
 この日対戦した広島には、U-23日本代表候補の浅野、さらにはオーバーエイジ選手への内定が発表された塩谷司がおり、「オリンピックが近づいてきたんだなと。ここからがアピール合戦」と話す。しかし、「性格上、あまり考えすぎると良い方向に行かない」と苦笑する橋本は、まずは目の前のJリーグでの戦いに全身全霊を注ぐつもりだ。
 
「しっかりJリーグで結果を残して、次の(松本での)キャンプに選ばれるようにしたい」
 
 橋本の終わりなき進化が、世界への扉を開くのか、実に楽しみである。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)
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