抽選で勝ち上がった決勝。粘りがアズーリに栄光を引き寄せた。
ドメンギーニ、リーバ、ディノ・ゾフ、タルチジオ・ブルニチ、ジャチント・ファッケッティ、サンドロ・マッツォーラといったカルチョのレジェンドが、アズーリの歴史を変えた。 (C) Getty Images
本日、開催国フランスとルーマニアの対決で幕を開けるEURO2016。欧州の祭典は、出場24か国という史上最大の規模で、１か月にわたって行なわれる。
今回で15回目となるEURO。1960年の第１回大会以来、数々の名勝負、出来事、そしてドラマが生まれた。
今日から、決勝戦が行なわれる７月10日まで、日々、フランス各地で繰り広げられる激闘の様子をお送りするとともに、ここでは、その日に生まれた過去の歴史的な瞬間を紹介していく。
――◇――◇――
イタリア代表は暗黒の時代を迎えていた。２年前の1966年イングランド・ワールドカップ、１次リーグで北朝鮮に０-１で敗れて早期敗退。帰国時には怒った国民から腐ったトマトを投げつけられるという屈辱を味わっていた。
戦後から不振に陥っていた"アズーリ"は、イングランドW杯後、しばらくはフェルッチョ・ヴァルカレッジと当時インテルの監督だったエレニオ・エレーラが共同でチームを率いていたが、間もなくして前者が正式な指揮官に就任する。
ここから状況は好転。67年から始まった欧州選手権予選――この大会から名称が「ヨーロッパネーションズ・カップ」から現在の「欧州選手権（EURO）」に変更された――では、組み合わせにも恵まれ、グループリーグではルーマニア、スイス、キプロスを下した。
68年に入って行なわれた準々決勝でブルガリアを下し、同年６月開催の決勝大会に初めて進出する。イタリアはサッカー連盟設立70周年ということでホストカントリーに指名されていたが、当時は開催国の予選免除というルールは存在しなかった。
準決勝（決勝大会１回戦）の相手はソ連（当時）。第１回大会王者との対戦は、延長戦を終えても両チームともにゴールは奪えず、規定により勝敗は抽選に委ねられ、イタリアはここで、まさに大きな幸運を掴んだ。
決勝に進んだ彼らの相手は、イングランドを下して欧州中を驚かせたユーゴスラビア。ローマのスタディオ・オリンピコに８万５千人の観衆を集めて行なわれた決戦では、"アウェーチーム"がペースを握り、前半のうちに名手ドラガン・ジャイッチが先制点を奪う。
しかしイタリアは残り10分のところで、アンジェロ・ドメンギーニが同点とし、１-１のまま延長戦に入り、ここでもスコアは動かず。勝敗は、抽選でも、PK戦でもなく、２日後の再試合に持ち込まれた。
６月10日、場所は再びオリンピコ。大会史上初、そして現時点で唯一の決勝再試合では、イタリアが第１戦のスタメンから５人の選手を入れ替えたのに対し、ユーゴはほぼ同じ顔ぶれで臨んだ。これが勝敗に大きな影響を及ぼすこととなる。
疲れの見えるユーゴに対し、アズーリは第１戦とは打って変わり、非の打ちどころのないプレーを披露。12分にルイジ・リーバ（第１戦は出場せず）が先制し、さらに31分にはピエトロ・アナスタージが追加点を奪うと、この時点で早くも勝負は決した。
こうして38年フランスW杯以来となる国際タイトル獲得、そして初の欧州制覇を果たしたイタリアは、２年後のメキシコW杯でも決勝進出を果たすなど、完全に不振からの脱却を果たすこととなる。
ちなみに当時のユーゴには、イビチャ・オシム、イリヤ・ペトコビッチという、後に日本サッカーと深い関係を持つ選手がいたが、ふたりが再試合で揃って出場できなかったことは、ユーゴにとって非常に痛かった。
さて６月10日には、他にも以下の通り、多くの試合が行なわれている。ちなみに88年大会の開幕戦、オープンニングゴールを決めたのは、現在は監督とし名を馳せているロベルト・マンチーニ（インテル）。クラブで数々の栄光を手にした彼が、アズーリで輝いた唯一の瞬間だった。
◎６月10日に行なわれた過去のEUROの試合
◇1968年イタリア大会
決勝・再試合
イタリア ２-０ ユーゴスラビア
◇1988年西ドイツ大会
開幕戦
西ドイツ １-１ イタリア
◇1992年スウェーデン大会
開幕戦
スウェーデン １-１ フランス
◇1996年イングランド大会
グループリーグ
オランダ ０-０ スコットランド
ルーマニア ０-１ フランス
◇2000年ベルギー・オランダ大会
開幕戦
ベルギー ２-１ スウェーデン
◇2008年オーストリア・スイス大会
グループリーグ
スペイン ４-１ ロシア
ギリシャ ０-２ スウェーデン
◇2012年ポーランド・ウクライナ大会
グループリーグ
スペイン １-１ イタリア
アイルランド １-３ クロアチア
※ここでの日付は全て現地時間
今回で15回目となるEURO。1960年の第１回大会以来、数々の名勝負、出来事、そしてドラマが生まれた。
今日から、決勝戦が行なわれる７月10日まで、日々、フランス各地で繰り広げられる激闘の様子をお送りするとともに、ここでは、その日に生まれた過去の歴史的な瞬間を紹介していく。
――◇――◇――
イタリア代表は暗黒の時代を迎えていた。２年前の1966年イングランド・ワールドカップ、１次リーグで北朝鮮に０-１で敗れて早期敗退。帰国時には怒った国民から腐ったトマトを投げつけられるという屈辱を味わっていた。
戦後から不振に陥っていた"アズーリ"は、イングランドW杯後、しばらくはフェルッチョ・ヴァルカレッジと当時インテルの監督だったエレニオ・エレーラが共同でチームを率いていたが、間もなくして前者が正式な指揮官に就任する。
ここから状況は好転。67年から始まった欧州選手権予選――この大会から名称が「ヨーロッパネーションズ・カップ」から現在の「欧州選手権（EURO）」に変更された――では、組み合わせにも恵まれ、グループリーグではルーマニア、スイス、キプロスを下した。
68年に入って行なわれた準々決勝でブルガリアを下し、同年６月開催の決勝大会に初めて進出する。イタリアはサッカー連盟設立70周年ということでホストカントリーに指名されていたが、当時は開催国の予選免除というルールは存在しなかった。
準決勝（決勝大会１回戦）の相手はソ連（当時）。第１回大会王者との対戦は、延長戦を終えても両チームともにゴールは奪えず、規定により勝敗は抽選に委ねられ、イタリアはここで、まさに大きな幸運を掴んだ。
決勝に進んだ彼らの相手は、イングランドを下して欧州中を驚かせたユーゴスラビア。ローマのスタディオ・オリンピコに８万５千人の観衆を集めて行なわれた決戦では、"アウェーチーム"がペースを握り、前半のうちに名手ドラガン・ジャイッチが先制点を奪う。
しかしイタリアは残り10分のところで、アンジェロ・ドメンギーニが同点とし、１-１のまま延長戦に入り、ここでもスコアは動かず。勝敗は、抽選でも、PK戦でもなく、２日後の再試合に持ち込まれた。
６月10日、場所は再びオリンピコ。大会史上初、そして現時点で唯一の決勝再試合では、イタリアが第１戦のスタメンから５人の選手を入れ替えたのに対し、ユーゴはほぼ同じ顔ぶれで臨んだ。これが勝敗に大きな影響を及ぼすこととなる。
疲れの見えるユーゴに対し、アズーリは第１戦とは打って変わり、非の打ちどころのないプレーを披露。12分にルイジ・リーバ（第１戦は出場せず）が先制し、さらに31分にはピエトロ・アナスタージが追加点を奪うと、この時点で早くも勝負は決した。
こうして38年フランスW杯以来となる国際タイトル獲得、そして初の欧州制覇を果たしたイタリアは、２年後のメキシコW杯でも決勝進出を果たすなど、完全に不振からの脱却を果たすこととなる。
ちなみに当時のユーゴには、イビチャ・オシム、イリヤ・ペトコビッチという、後に日本サッカーと深い関係を持つ選手がいたが、ふたりが再試合で揃って出場できなかったことは、ユーゴにとって非常に痛かった。
さて６月10日には、他にも以下の通り、多くの試合が行なわれている。ちなみに88年大会の開幕戦、オープンニングゴールを決めたのは、現在は監督とし名を馳せているロベルト・マンチーニ（インテル）。クラブで数々の栄光を手にした彼が、アズーリで輝いた唯一の瞬間だった。
◎６月10日に行なわれた過去のEUROの試合
◇1968年イタリア大会
決勝・再試合
イタリア ２-０ ユーゴスラビア
◇1988年西ドイツ大会
開幕戦
西ドイツ １-１ イタリア
◇1992年スウェーデン大会
開幕戦
スウェーデン １-１ フランス
◇1996年イングランド大会
グループリーグ
オランダ ０-０ スコットランド
ルーマニア ０-１ フランス
◇2000年ベルギー・オランダ大会
開幕戦
ベルギー ２-１ スウェーデン
◇2008年オーストリア・スイス大会
グループリーグ
スペイン ４-１ ロシア
ギリシャ ０-２ スウェーデン
◇2012年ポーランド・ウクライナ大会
グループリーグ
スペイン １-１ イタリア
アイルランド １-３ クロアチア
※ここでの日付は全て現地時間