“裏方”として好機をお膳立てした金崎。次は「結果」を出したい

2016年06月06日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

後半に生まれた3つのゴールになんらかの形で絡む。

力強くゴールに向かっていく直線的な動きが魅力の金崎。推進力があり、「縦に速く」というハリルジャパンのスタイルに合致するタイプで、様々な形でゴールに貢献できる選手だ。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 ゴールを決めたわけでもなければ、アシストを記録したわけでもない。
 
 岡崎慎司に代わり、金崎夢生は後半のスタートからピッチに立った。しかし、7-2と大勝したブルガリア戦で、途中出場の選手では最長となる45分間のプレータイムを与えられながらも、目に見える「結果」を残すことができなかった。
 
 だからといって、この男の価値が下がるわけではない。
 
 53分、清武弘嗣のアシストから吉田麻也がこの日、2点目を決める。右サイドを抜け出した清武に正確な縦パスを供給したのは誰だったか。
 
 57分、酒井宏樹のクロスを逆サイドで受けた宇佐美貴史が見事なハーフボレーを突き刺す。宇佐美の前でふたりのDFと競り合って潰れ役になったのは誰だったか。
 
 87分、敵陣深くでドリブル突破を仕掛けた浅野が倒されてPKを得たが、そのひとつ前の場面で、絶妙なタメを作って相手DFを引きつけ、快足の浅野を走らせる少し強めのパスを通したのは誰だったか。
 
 ブルガリア戦の後半に生まれた3つのゴールシーンを振り返れば、なんらかの形で必ず関与していたのが、金崎だった。

 所属する鹿島では、14節終了時点でチームトップの7ゴールを記録。代えの利かない得点源として活躍する一方、スペースを作る献身的なオフ・ザ・ボールの動きや、サイドに流れて後方からのロングフィードを引き出し、攻撃を活性化させるなど、裏方に徹してチャンスを捻出するプレーでも高い貢献度を示している。
 
 ブルガリア戦ではゴールもアシストもなかったが、金崎の"もうひとつの魅力"は存分に発揮されていた。そして、それがビッグチャンスにつながり、後半の3ゴールを導いた。
 
 ただ、今度は"表舞台"に立ちたいと思っているはず。ボスニア・ヘルツェゴビナとの決戦では、誰よりもゴールに飢えている金崎の貪欲な姿勢と「結果」を期待したい。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
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