ベンチで本田の隣に座った小林祐希。「一緒に見ましょう」と声を掛けて、盗んだものとは?

2016年06月04日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

小林にとって得るものはあったが本心は――。「ベンチに座っているだけでは面白くないから、1分でも出たかった」

ベンチで一番端にいた本田の隣に座った小林祐希。「ビジョンについて」話をしたという。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンカップ]日本代表7-2ブルガリア代表
6月3日/豊田スタジアム

 日本代表に初めて招集された小林祐希は、ブルガリア戦のピッチに立てなかった。それでもベンチでは本田圭佑の隣に座って、プロとしてのビジョンなど、その独特な世界観に触れる貴重な時間になったそうだ。

 試合の2日前にハリルホジッチ監督は、今回初めてA代表に招き入れた小林祐と大島僚太について、「まだ準備ができていない。学ぶ時期である」と語り、ブルガリア戦で起用しない方針を示していた。
 
 それでも小林祐自身は、チャンスを得たいという強い想いを持っていた。ブルガリア戦後、彼はこう言っていた。
 
「出たかったです。まだ信頼を得ていないし、仕方がないかもしれませんが……。練習は確認作業が多く、アピールがなかなかできない。ただ様子を見ながらも、普通にはできています。あとはどのように、自分の色を出すかを考えていきたいです」
 
 まずクリアした目標のA代表メンバー入り。選手たちと過ごす1日、一瞬から刺激を受け、得るものは多いと言う。
 
「お客さんがたくさんスタジアムに来てくれて、(TVでは)全国のサッカーファンが見ている注目度の高い試合。そこで7点も取れるのは、ちゃんとコンディションを整えてきているということ。それは素晴らしいなと思いました」
 
 そうは言っても、ベンチで90分間を過ごしたことに、決して『納得』はしていない。
 
「ベンチに座っているだけでは面白くないから、1分でも出たかったです。でも次があるので、頑張ります」
 
 ベンチでは本田の隣に座った。『本田二世』と周囲から言われることに首を捻る小林だが、あえてそのような行動に出たのは、いったいなぜか。
 
「いろいろ聞きたいことがあったので、『一緒に見ましょう』と声を掛けました。(ブルガリア戦の)試合に関することはもちろん、どのように自分のビジョンを描いていくかという部分で、どうすれば目立つかを聞いたりしました」
 
 プレーを見て、話を聞いて……五感をフル活用し、得られるものは貪欲に吸収していった。

次ページ“インプット”は完了。「自分がやらなければいけないすべてが、この期間で分かった。あとは行動に移すだけ」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事