「もはやサッカーではない」「恥だ」ソシエダ番記者が激怒したアンデルレヒト戦、後半投入で奮闘の久保建英には賛辞「困ったときのタケ頼み」【現地発】

2024年10月06日 ミケル・レカルデ

「恐怖に怯えた子供たちを連れて帰宅する者も現われた」

アンデルレヒト戦で後半から出場した久保。(C) Getty Images

 恥ずべき試合だった。レアル・ソシエダはアンデルレヒトに1-2の逆転負けを喫した。なかなか波に乗れない姿に心配が増してくるが、結果は二の次というしかない事件が起きた。

 試合数日前からサン・セバスティアンに1200人のアンデルレヒトのサポ―ターが来襲し、そのうち300人は要注意人物とアナウンスされていた。誰もが何が起こるか知っていた。地元警察を除いては。

 試合は正常に進行し、ソシエダがパブロ・マリンのゴールで先制してしばらく経った前半半ばだった。ならず者たちはスタンドのスクリーンを壊し、座席を投げ込んだ。多くの家族連れが陣取っていた下層階ではパニックが発生し、中には恐怖に怯えた子供たちを連れて帰宅する者も現われた。

 不可解なことに、大混乱の中でも、警備員がハーフタイムまで介入に入らなかった。さらに悪いことにカオス状態はピッチに波及し、選手たちが気が気でない中プレーし続けたソシエダは前半のうちに逆転を許した。

 ウルトラスは、サッカー界が抱える病であり、今回は勝敗にも影響を及ぼした。
【動画】久保がキレキレのフェイントで相手DFを翻弄
 もちろん敗因はそれだけではない。中でも、墓穴を掘ってしまったのがイマノル・アルグアシル監督だ。週末のアトレティコ・マドリー戦に向けて主力をこれでもかというほど温存し、いたずらにチームに混乱を招いた。

 確かに今夏の補強を経て、選手層は拡充した。しかしローテーションを組むことと、10人の選手を入れ替えることはまったく別の話だ。

 タケ・クボ(久保建英)もローテーションの対象となり、ベンチから戦況とスタンドの混乱を見守った。しかし動くしかないアルグアシル監督は、後半頭からナイフ・アゲルドとアンデル・バレネチェアとともに投入。同時にフォーメーションも5-3-2からいつもの4-3-3に変更した。困ったときのタケ頼みというわけだ。

 その効果はあった。ワイドに開くタケとバレネチェアの両ウイングが常に脅威を与えながら、自陣に閉じこもる相手にポゼッションで圧倒。試合はアンデルレヒト陣内でのプレーが続くハーフコートゲームと化し、サッカーではなく、ハンドボールを見ているのではないかと錯覚してしまうほどだった。
 

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