リーグ開幕4連勝、CL9発大勝と絶好調の新生バイエルン。伊藤洋輝は故障から復帰後、レギュラーでプレーできるのか。キム・ミンジェとウパメカノCBコンビは軽率なミスが…【現地発コラム】

2024年09月28日 中野吉之伴

「他の人が何か言ったからといってやめたりするか?」

復帰は10月下旬とも伝えられている伊藤。(C)Getty Images

 チャンピオンズリーグ初戦で荻原拓也がプレーするディナモ・ザグレブをホームのアリアンツアレーナで9-2と粉砕したバイエルンは、続くブンデスリーガ4節のブレーメン戦でも5-0と圧勝し、リーグ戦でも開幕から4連勝。リーグトップを快走している。

 今季から指揮を取るヴァンサン・コンパニ監督は前線からの圧倒的なプレスの連続でゲームの主導権を握り続け、ボールを持つと素早いパス交換でスペースをうまく使いながらゴールを強襲するサッカーを志向。クラブレジェントのトーマス・ミュラーも「相手を前から追い込むサッカーは僕らの強みを出せるからいい」と大歓迎している。

 指揮官としての立ち振る舞いへの評価もどんどん高まっている。D・ザグレブ戦後の記者会見でとある記者から「監督としての経験がまだ十分ではないあなたのバイエルン監督就任を懐疑的に見ている識者が少なからずいましたが」という質問をふられたときに、真剣なまなざしで熱っぽく自分の心構えについて話をしていたのがとても印象的だ。

「私はブリュッセルで生まれた。父はコンゴから難民としてベルギーへ来た。私がプレミアリーグでプレーをし、選手としていくつかのタイトルを獲得し、代表チームでプレーできるチャンスというのはどのくらいだったか? パーセンテージでいえば0.000いくつかだと思う。いま、私は監督としてここにいる。自分自身と自分が到達できることを信じるのを、他の人が何か言ったからといってやめたりするか?本当のメンタリティというのは、やり続けること。うまくいかなくても、うまくいっても、どんな時でもさらに成長することができる」
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 チームとして試合にかける熱さやオフ・ザ・ボールでの精力的な連続した取り組みなどからコンパニのメンタリティがチームに確かに届いていることを感じさせられる。

 戦術や選手起用への采配も興味深い。D・ザグレブ戦を振り返ると、戦術理解に長けた選手の使い方が特徴的だ。

 昨季はチーム内で負傷者多発の影響で右SBを務めていたヨズア・キミッヒをボランチで再起用。SBでもボランチでもインサイドハーフでもプレーできるポルトガル代表ラファエウ・ゲレイロは重用し、キミッヒの相棒としてコンビを組むのが、鳴り物入りで加入したポルトガル代表ジョアン・パリーニャではなく、アレクサンダル・パブロビッチというのがコンパニのサッカー感の表われではないだろうか。

 20歳のパブロビッチは相手プレスを受けている状況でも巧みにパスコースを見つけ出し、鋭くクレバーなターンでパスを展開するスキルレベルが極めて高い。今季ここまでのパス成功率は95.5%と欧州トップリーグの中でベストの一人に数えられる記録を残している。加えてボール奪取能力も、ゴール前に入り込むセンスにも長けている。
 

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