「俺を置いといてくれよ!」悔しさを糧に突き進むストライカー小川航基は前のめりで“昨季15ゴール超え”を狙う。「前半戦からガンガン量産しないとダメ」【現地発】

2024年09月23日 中田徹

「もっと自分の身体を知る、ってところをやっていきたい」

今季2点目に雄叫びを上げる小川。コンディションは上々だ。写真:picture alliance/アフロ

 NECの小川航基が9月21日のヘラクレス戦で今季2ゴール目を記録した。0-2で迎えた前半アディショナルタイムにNECがCKを獲得。ゴール正面にポジションを取った小川は、ロベール・ゴンザレスがボールを蹴る瞬間、味方選手の背後からニアに走り込んでヘディングシュート。これが相手DFに当たって方向が変わり、ボールはゴール左隅に吸い込まれていった。
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「今日は僕にあまりマークがついてなかった。『今日はいけそうだな』と思ってました」

 昨季と比べ、現在のNECはDFから中央を刺すようなパスがなく、ビルドアップがサイドを迂回しがち。最前線に立つ小川に良い形でボールが入る回数は少ないが、そのなかでもトラップから反転シュートを撃ったり、良いアクションから好位置でFKを奪ったり、セットプレーから好機を掴んだりと、ストライカーとして効率良くプレーしていた。だがチームは後半ゴールを奪うことができず1-2で惜敗。その責任を小川は感じていた。

「今日はけっこうシュートを撃つことができた。しかし最後のコーナーキック、あれは決めなきゃいけなかった。(ヘディングを)振りすぎないようにという意識はあったんですが、それがちょっと薄く当たってしまった。ストライカーが2点目を取って同点に持ち込むこと、そういうのが必要でした。まだまだ物足りないですね」

 68分から19歳の塩貝健人と初めてツートップを組んだ小川。しかしチームメイトがほぼ4-3-3をイメージした配置を保ったため、守備時の小川は右に空いたスペースを埋めるのに奔走した。その走りっぷりの良さは1か月前と比べて見違えるほどだった。

 プレシーズンで肩を負傷した小川は実戦復帰が遅れ、8月24日の対ズウォーレ戦(1-0)ではフル出場こそ果たしたものの、終盤になると苦しそうな表情を浮かべてスプリントしていた。しかし翌節、対フォルトゥナ戦(3-0)の小川は右SBペレイラのアバウトなクロスに対し、軽やかにバックステップを踏みながら豪快なボレーシュートを決めるなど、好プレーを連発。直後のワールドカップ・アジア最終予選の2試合で小川は共に途中出場し、バーレーン戦では中村敬斗のクロスをGKが弾いたボールにタイミング良く詰め、ヘディング弾を決めた。
 
 どのようにして、ズウォーレ戦からフォルトゥナ戦にかけての1週間でコンディションを上げていったのか。

「ズウォーレ戦でちょっと身体に負荷をかけてからコンディションが戻った感じがあって、フォルトゥナ戦はすごくコンディションが良かった。(日本代表の2試合を経て)その後PSV戦で10分ぐらいしか出られなかったんで、ちょっと今日はコンディションがどうかなと思ったんですけど、しっかり走れたと思うんですよ。プレッシャーのところでも行けるところはしっかり行けたと思う。コンディション面に関しては、もっとしっかり自分で考えて、自分の身体を知るっていうところをやっていきたいです」

「PSV戦の10分くらい」とは9月14日、アウェーでの対PSV戦(0-2)でわずか13分にしてベンチに下げられたことを指す。この試合で佐野航大が9分でレッドカードを受けたため、ひとり少なくなったNECは小川に代えてMFフーデマーカースを投入した。フォルトゥナ戦とバーレーン戦でゴールを決めて調子を上げていた小川には、悔しさや怒りがあったはずだ。

「もちろん、あの試合は自分自身、めちゃくちゃ気合が入ってた。(PSVは)4連勝している相手というのもあって、『ここで一発、自分の力を証明したい』というすごい強い思いを持って試合に入ったんですけど…。あれもサッカーというか、運というかツキがなかったというか。

 この選手は絶対にグラウンドに置いとかなきゃいけない、と思ってもらえてたら、僕のことを残してくれてたと思う。たとえ戦術的な理由だったとしても、その戦術的に理由を覆すほどのやっぱり信頼があれば、僕がピッチに立っていたと思う」

次ページ次節はフェイエノールト戦。上田との日本代表対決に臨む

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