PKだろ! 90+4分、ハンドが認められずブーイングの嵐。湘南、最下位脱出ならず

2016年05月21日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

島村のキックが奥埜の右腕に当たったが…。攻撃参加していたGK村山は「とるか、とらないかは主審次第。仕方ないです」と肩を落とす。

湘南は島村が攻撃参加した際に二度の決定機を作ったがモノにできず……。2連勝のあと3連敗で最下位脱出ならず。写真:SOCCER DIGEST

 最下位脱出ならず――。湘南にとっては、不運な幕切れとなった。

 0-1で迎えた90+4分、湘南が土壇場でチャンスを掴み、セットプレーの流れから左サイドにいた藤田征がクロスを放つ。鋭くゴール前に放たれたボールは、相手選手に弾かれ逆サイドに流れる。そして、そこにフリーでいた島村が、右足で中央に折り返した。

 するとボールはペナルティエリア内にいた奥埜の出していた右腕に弾かれて、軌道が変わった。しかし家本主審はファウルを取らず、プレーは続行。湘南の選手やベンチのスタッフがハンドだと猛アピールしたが、もちろん受け入れられなかった。

 結局、試合はそのまま仙台が勝利。スタジアムを埋めた湘南サポーターからは主審と副審に対しブーイングの"嵐"が巻き起こった。

 その場面、ゴール前まで攻撃参加していたGK村山は、次のように振り返って肩を落とした。

「(ボールは)手に当たっていたとは思う。ただ、そのファウルをとるか、とらないかは主審次第。仕方ないです」
 
 そのシーンを振り返ってみよう。
 
  島村が中央へ折り返そうとボールを蹴る瞬間、彼に対峙した奥埜が右腕を上げていた。実際、湘南側のゴール前へ向かったそのキックは腕に"ブロック"されて、仙台の選手にクリアされている。

 しかし、「手または腕で意図的にボールに触れる行為」ではないとして、ハンドのファウルはとられなかった。

 もちろん、奥埜からすれば、意図的ではなかったと言うはずに違いない。ただし、なにをもって、「意図的」であるかどうかを見分けるのかは難しい。しかも、主審や副審はその判断を一瞬で下さなければならない。

 例えば今回でいえば、島村に目がけて走ってきた奥埜が、キックを避けるために腕を上げたようにも解釈できるのだ。見方によっては、こうした場面でハンドがとられなければ、"意図的ではない"と装って腕を投げ出すプレーも増えかねない。"手を使わない"スポーツであるサッカーの本質にさえ関わってくるテーマとも言える。

 そういった状況を踏まえると、他の主審であればPKが与えられていた可能性はある。

 湘南は2勝2分9敗。勝てば一気にJ1残留圏へジャンプアップできるチャンスでもあったが、最下位脱出はならなかった。2連勝のあと3連敗を喫し、いまだホーム未勝利のままだ。

 一方の仙台は4勝2分7敗で、11位タイの勝点14に伸ばした。
 
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