アメリカ戦の欠場でかえって“神格化”された印象もある谷川萌々子。ただ、なでしこジャパンにとってニューヒロインの誕生は実に喜ばしい【コラム】

2024年08月23日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

パリ五輪で数少ない希望

ブラジル戦で2ゴールに絡んだ谷川。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 今やなでしこジャパンで長谷川唯よりも話題性はあるのではないのか。パリ五輪のブラジル戦で2ゴールに絡み、劇的な決勝弾が大きくクローズアップされた谷川萌々子のことである。

 アメリカ戦でメンバー外(体調不良のため)になったことが、かえって谷川の存在価値を高める結果となった。

 「谷川がアメリカ戦にいたら」とそう思ったファン・サポーターは多かっただろうし、アメリカ戦での欠場が彼女を神格化させる一因になった印象すらある。

 「騒ぎすぎだ」と批判的な見方もあるだろうが、なでしこジャパンにとってニューヒロイン誕生は実に喜ばしい。
 
 ひとりの選手に興味を持ち、そこから他のプレーヤーを知り、ひいてはそのチームにも関心を持つ。そうした連鎖は団体スポーツで見受けられる傾向で、パリ五輪で「谷川」を認知した方々が今後なでしこジャパンの試合に足を運んだとしても不思議はない。

 パリ五輪で大きな話題とならなかったなでしこジャパンだが、谷川の活躍は数少ない希望となった。スケールの大きさとプレービジョンの広さに加え、確かなテクニックも備えた谷川がまずクラブシーン(FスウェーデンのCローゼンゴードに在籍)で活躍して、その勢いをなでしこジャパンに持ち込めるか。

 池田太監督の後任を誰にするかでなでしこジャパンの注目度も変わってくるが、何より主役は選手である。その意味で、谷川の台頭はなでしこジャパンの未来を明るくする重要なファクターになり得る。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

【記事】「無駄遣いとまでは言いませんが…」長谷川唯は戦術の犠牲者だったのか。パリ五輪・アメリカ戦の戦い方をなでしこジャパンは得意としていない【識者の見解】
 

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