【プレミア現地コラム】ヴェンゲル体制はいつまで続くのか?

2016年05月19日 山中忍

「聖トッテリンガム記念日」の到来で続投が確定。

宿敵トッテナムを上回る順位でのフィニッシュは、これで20年連続だ。試合後に場内を一周すると、スタンドからはヴェンゲル監督を讃える合唱が。 (C)Getty Images

 4-0の勝利で締め括った最終節のアストン・ビラ戦、試合中にベンチで笑顔を覗かせ、スタンドから届く声援に軽くガッツポーズで応えたアーセン・ヴェンゲル監督。
 
 アーセナルの指揮官は、ファンの辞任要求を目撃した前回のホームゲームとは、まるで別人のようだった。
 
 試合後には「ブーイングを好むほどマゾではないからね」と、冗談まで口をついた。
 
 エミレーツ・スタジアムのムードが好転したのは、いわば「聖トッテリンガム記念日」の到来が要因だ。地元の宿敵に対する優位を祝うアーセナル独自の「旗日」である。
 
 アーセナルは最終節の勝利で、ニューカッスルに大敗(1-5)を喫したトッテナムを抜いて土壇場で2位に浮上した。ヴェンゲルの監督就任から20年連続となる「祝日」は、プライドの面において19年連続で果たしたCL出場権獲得にも匹敵する満足度を、アーセナル陣営にもたらすものだ。
 
 同時に「ヴェンゲルの続投確定日」となった。
 
 当人は試合前から「任期を全うするのが私のモットーだ」と語り、契約満了となる2017年6月まで指揮を執る意思を示していたものの、最終節の成り行き次第では「ヴェンゲル限界説」が音量を増すのは明らかで、即退任の可能性もゼロではなかったのだ。
 
 最終節の試合後、シーズンを通して支えてくれたファンを労うべく場内を一周したときには、在職20年の監督を讃える合唱が何度も沸き起こった。「ヴェンゲルのアーセナル」は、少なくとも来シーズンに向けては「12人目(=サポーター)」を含めて足並みが揃ったようだ。
 

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