なぜPKを決定機逸の田中美南に任せたのか。ブラジル戦で典型的な負けパターンにハマりかけたなでしこジャパンは采配に疑問【パリ五輪/コラム】

2024年07月29日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

谷川の活躍には涙が出るほど感動したが

決定機をことごとく外した田中。この日はツキがなかった。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 パリ五輪のグループステージ2戦目でブラジルに劇的な展開で2-1と勝利。その立役者となった谷川萌々子の活躍には涙が出るほど感動したが、なでしこジャパンのパフォーマンスは決して良くなかった。

 勝利の余韻に浸らせてくれと批判的な声を浴びそうだが、冷静に試合を振り返ると勝てたのが奇跡と言える内容だった。前半の最大の疑問は、なぜPKを田中美南に任せたか、である。その前に決定機を外したことを考えれば、司令塔の長谷川唯あたりにキッカーを託すべきだった。

 スコアレスで迎えた前半終了間際、守屋都弥が相手のハンドを誘って得たPKの場面は試合の流れを左右する大きなポイントだった。田中がPKを失敗せず、しっかりと決めてリードしていれば後半は精神的にも楽に戦えていたはずが、結果的に先にゴールを奪われる。自滅に近い形で典型的な負けパターンにハマりかけたのだから、素晴らしいゲームをしたなどとは言えない。

 1点リードされてからの采配が疑問だった。なぜゴールから見放されていた田中を最後まで引っ張ったのか。前線で使うべき清家貴子を右ウイングバックで起用したのか(何度かここで使っているが機能しているとは言い難い)。谷川の投入は当たったとはいえ、総合的には精彩を欠くベンチワークだった。
 
 グループリーグ突破が今大会の目標なら、「ブラジルに勝って良かったね、感動した」で締めている。しかし、池田監督はパリ五輪前にはっきりと言っている。「やるからには金メダルを目指す」と。そこを基準にするなら、ブラジル戦の戦いぶりは決して褒められない。

 決めるべき時に決めないと痛い目に遭う。それを思い知らされた点がむしろブラジル戦での収穫だろうか。いずれにしても、反省材料の多い試合だった。この日はベンチ外だった藤野あおばがナイジェリア戦でメンバーに入ることを心から願う。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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