【リオ五輪代表】哲学の違いが生み出したミス? CBの奈良が反省する唯一の危険なシーンが起きた背景とは

2016年05月12日 サッカーダイジェストWeb編集部

「フロンターレではまず奪ったボールを失わないという意識でやっている」一方で…。

奈良は、ガーナを無失点に抑えながらも、ピンチを招くミスを犯したプレーを反省した。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 今季完全移籍で加入した川崎では充実のパフォーマンスを見せ、チームの躍進に貢献しているCBの奈良が、随所に好調ぶりを見せつけた。初のアフリカ勢との対戦も、相手にほぼ何もさせずに45分間を無失点に抑え込んだ。

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「45分と言われていたので、強気のラインを設定したし、けっこう前からプレスを要求したのが上手くいった。実際に90分で考えたらもう少しペース配分を考えてやらないと後半落ちるのは僕も分かっていた。ただ、45分のなかでなにか見せないといけないという僕自身のアピールの場でもあったので」
 
 もちろん、相手のレベルに問題があったことも承知している。奈良自身、無失点勝利にも少し覚めた見方をしている。
「実際に(五輪で)戦う相手はもっとレベルが高いと思うし、(ガーナは)ちょっと組織的じゃなかった。個人としても、チームとしてもこれで満足するわけにはいかない」
 
 ただし、ひとつだけ悔やまれるミスがあった。守護神・櫛引の好判断で事なきを得たものの、ゴールに迫られた44分の場面だ。高く上がったボールの処理を、奈良が目測を誤ってトラップミスをし、こぼれ球を相手にさらわれそうになった。
 
 そのミスの背景にあるものとして、奈良は所属する川崎とU-23日本代表のサッカースタイルの違いを挙げた。
「(所属の)フロンターレではまず奪ったボールを失わないという意識でやっているんですが、このチーム(U-23代表)ではよりダイレクトにゴールに向かっていく姿勢が強く求められる。僕が腿でトラップをミスってしまったのは、そういう面でボールを大事にし過ぎた部分が出てしまった」
 
 奈良自身も無理をして後方からしてつなぐよりも、セーフティに前線に長いボールを送れば別の展開ができたかもしれないと、振り返っている。
「前にスピードのある選手がいるなら、そこへいれても良かったし、(富樫)敬真は前で収めてくれるので、そこに入れても良かった。やはり、やっているサッカーが代表と川崎では違うので、頭とプレーの切り替えは意識しなければいけない」
 
 そして5月下旬には、トゥーロン国際での強化試合が待っている。やや歯応えに欠けたこの日の相手とは異なる、実力のあるチームが揃うはずだ。
「こっちがミスして、向こうもミスして事なき得たという場面もあった。トゥーロンでは、そういうのを見逃してくれないだろうし、逆にこっちも隙を逃さないで加点していくような力強さも見せなきゃいけない」
 
 奈良はひとつのミスこそあったものの、全体的には川崎での現在の充実ぶりを思わせるプレーを披露。今回のミスもさらなる成長への課題として逞しく乗り越えていくはずだ。
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