【移籍専門記者】逸材アンドレ・ゴメスの争奪戦が過熱! ユーベ、マンチェスター・U、A・マドリーなどが火花を散らす!

2016年05月09日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

いま一番重要な「いいね」はSNSではなくメルカートから届いている。

バレンシアで2シーズンを戦ったA・ゴメスは、ビッグクラブへのステップアップを視野に捉える。(C)Getty Images

 ボールをキープする必要があれば、何人に囲まれようと何の苦もなくやってのける。右足も左足も同じように使いこなし、どちらが利き足か見分けがつかない。流れるような足運びと緩急の鋭い切り替えは、まさに天性の素質だ。
 
「子供の頃はブラジルのロナウドがアイドルだった。いつもプレーを真似していたよ」
 
 バレンシアに所属するアンドレ・ゴメスはそう笑うが、22歳となった現在は極上のテクニックを持った万能のセントラルMFだ。シザーズ・フェイントやバイシクルキックはストライカーに任せて、自らは際立った戦術眼とパスワーク、そしてアシストで違いを作り出す。絶妙のタイミングで前線に走り込み決定的なチャンスを作り出すそのプレーは、しばしば相手に致命傷を与える。
 
 私生活は品行方正そのもの。常に家族を大事にしている。寝る前には必ず、両親か兄に電話をかけるという。今のアイドルはジネディーヌ・ジダン。しかし、バレンシアで背負う21番は「アイマールが付けていたから選んだ」という。
 
 12万人ものフォロワーを持つインスタグラムのアカウントには、友人や愛犬とのプライベート写真、そしてバレンシアやポルトガル代表で活躍する姿をアップする。模範的な優等生だ。
 
 しかし、いま一番重要な「いいね」は、インスタグラムでもFacebookでもなく、メルカートから届いている。2014年夏にベンフィカからバレンシアに彼を動かした代理人のジョルジュ・メンデスはいま、今夏のステップアップ移籍に向けて動き始めている。
 
 買い手にはもちろん事欠かない。ユベントスは何か月も前からスカウトを送ってプレーをチェックし、獲得リストの筆頭に名前を書き込んだ。メンデスにもすでにコンタクトを取っているが、まだ色良い返事は返ってきていない。
 
 その理由は簡単だ。同じくメンデスの顧客であるジョゼ・モウリーニョもまたA・ゴメスに興味を示し、自身の就職先になる見込みのマンチェスター・ユナイテッドに連れて行きたいと考えているからだ。メンデスと深い繋がりがあるアトレティコ・マドリーも虎視眈々と状況を伺っている。
 
 加熱するA・ゴメス争奪戦は、はたしてどんな結末を迎えるのか。間違いなく、夏のメルカートの大きな注目ポイントのひとつだ。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
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