決勝点アシストの長谷部、守備では対峙した香川に仕事をさせず――フランクフルト 1-0 ドルトムント

2016年05月08日 サッカーダイジェストWeb編集部

相手の堅守に終始沈黙のドルトムント。リーガ優勝争いも終戦。

(C) SOCCER DIGEST

 5月7日(現地時間)、ブンデスリーガ第33節でドルトムントはフランクフルトと敵地で対戦し、0-1の敗戦。今シーズンのリーグ2位が確定した。
 
 勝利のみが必要とされる一戦は、しかし相手が降格圏内脱却を懸けた争いの真っ只中にいるチームとあって、簡単にはいかないことは戦前から予想されていた。
 
 序盤からボールを保持したのは、やはりドルトムント。しかし、フランクフルトは守備に人数を割いて効果的な攻撃を許さず、逆にカウンターでサイドから多重攻撃を仕掛けて、再三アウェーチームの守備陣を慌てさせる。
 
 そして14分、右サイドでのショートコーナーから長谷部が上げたクロスに、アイクナーが無理な体勢ながら頭で合わせると、ボールはゴール左のサイドネットに吸い込まれた。
 
 思惑通りに先制したホームチームは、さらにチームとして集中力を高め、ドルトムントの攻撃をひたすらはね返す。相手の縦パスに対する反応が良く、ラインの裏側に抜け出そうとする選手にボールが渡るのを阻止し続けた。
 
 地力で勝るドルトムントだが、相手のプレッシャーに苦しみ、また効果的なポジションチェンジも見られず、拙攻を繰り返す。オーバメヤンが2度好機を得るも枠内にボールを飛ばせず、終了間際にゴールネットを揺らしたフンメルスのヘッド弾もオフサイドと判定された。
 
 後半、最初から攻勢に出たドルトムントは、FKからまたもフンメルスが強烈なヘッドで得点機を迎えるも、これもプッシングでファウル。この日の彼らは、スムーズに事が運ばないためか、強引なプレーが目立った。
 
 フランクフルトは、ドルトムントが左右にボールを振って揺さぶりをかけても動じず、ラインコントロールも乱れず、再三相手をオフサイドの罠にかける。その姿勢からは、1点を守り、勝点3を絶対に奪うという気迫が前面に押し出されていた。
 
 今シーズンここまで、守りを固められて苦しんだ試合は何度もあったドルトムントだが、それら全ての試合でゴールをこじ開けてきた。しかし、この試合では打開策を見出せず、残り25分の時点でオーバメヤン、フンメルスが下げられ、プリシッチ、カストロと、攻撃の駒が投入される。
 
 チームをリードしてきた主力2人がリードされている時点で交代を命じられるという、これまでにない苦しい状況のなか、71分にムヒタリアンが強烈なミドルを放つもGK正面、74分には香川が頭で中央のロイスにパスを送るも、これもGKにパンチングで逃れられた。
 
 いつもなら、密集のなかで通るスルーパスも、混戦のなかでのシュートも、全てフランクフルトの守備の前にブロックされたドルトムント。85分、ムヒタリアンのフリーでのヘディングシュートは最高の決定機だったが、これも活かせず、ついにリーグでは17節ケルン戦以来の敗北を喫した。
 
 香川は、味方がボールを持った際には、スペースに入り込んでパスを待つなど、ゴールを奪うための動きをしっかり見せていたが、相手の堅守の前にボールは来ず、次第にパスの出しどころに困っている味方DFからボールを受けるため、ポジションを下げることが多くなった。
 
 良い位置で前を向いてボールを受けることも少なく、好機はここ数試合で最も少なかった。55分にはゴール前でオーバメヤンのクロスを受けるもシュートまで持ち込めず、81分にはカストロのクロスをゴール前で待ったがGKにブロックされるなど、良さも結果も出せないで終わった。
 
 逆にそのどちらも出したのが、長谷部だ。主に香川、ロイスと対峙し、時に厳しいチャージで相手にほとんど仕事をさせず、また味方との連係も良く、うまく絞り込んでボールを奪う場面もたびたび見られた。
 
 ボールを奪うとすかさず空いたスペースを使ってドリブルを仕掛け、相手のファウルを誘った。そして何より、自身のクロスから先制(そして決勝)ゴールを生み出したことは、両チームにとって大きかった。
 
 フランクフルトは貴重な勝点3を奪ってブンデスリーガ残留に大きく前進し、一方のドルトムントはこの敗北により、バイエルンの前人未到のリーグ4連覇を許した。
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