当時の名手たちに取って代わるタレントが現われてきている
オリバー・ケイ記者が選出したプレミアリーグの歴代ベストイレブン。(C)Getty Images
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私が考えるプレミアリーグの歴代ベストイレブンは、1990年代から2000年代にかけての名手たちと相場が決まっていた。とりわけ、この時代を支配したマンチェスター・ユナイテッドが大勢を占めるのが常だった。
今回のこのベストイレブンも、ピーター・シュマイケル、ロイ・キーン、エリック・カントナは譲れない。それは、ジョン・テリー、パトリック・ヴィエラ、アラン・シアラー、ティエリ・アンリも同じだ。
とはいえ、時代は流れて当時の名手たちに取って代わるタレントが現われてきている。それがカイル・ウォーカーであり、トレント・アレクサンダー=アーノルドだ。ウォーカーはガリー・ネビルからプレミア史上最高の右SBの称号を奪い、TAA(名前の頭文字を取ったアレクサンダー=アーノルドの愛称)がそれに続く存在だと言えるだろう。
そして、このまま実績を重ねてあと数年もすれば、アリソン・ベッカー、フィルジル・ファン・ダイク、ケビン・デ・ブライネが、それぞれシュマイケル、ファーディナンド、ランパードに代わることになるはずだ。さらにその数年先には、モハメド・サラー、アーリング・ハーランド、ロドリなどがベストイレブンに名を連ねても不思議はない。
クリスティアーノ・ロナウドの名前がセカンドチームにもないのは、驚きかもしれない。しかし、ロナウドがユナイテッドで圧倒的なパフォーマンスを見せたのは、レアル・マドリーに移籍する前の最後の2~3年ほどで、それではベストイレブンには値しない。同じことは、ガレス・ベイルやエデン・アザールにも言えるだろう。
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プレミアリーグ史上もっとも偉大な監督は、アレックス・ファーガソンをおいて他にはいない。13度のプレミア優勝はもちろん史上最多で、1990年代から2010年代までの長きに渡ってオールド・トラフォードに絶対王朝を築き上げた。
その牙城に迫ろうかというのが、マンチェスター・シティを率いるペップ・グアルディオラだ。プレミア3連覇、6シーズンで5度の優勝は、どちらもファーガソンに肩を並べる偉大なる達成だ。最多勝点や総得点などのシーズン記録を塗り替え、プレミアリーグというコンペティションのレベル(とくに戦術的な側面において)を大きく引き上げたという点では、すでにファーガソンを超えているかもしれない。
この2人に続く3位の座を争うのが、アーセン・ヴェンゲル、ジョゼ・モウリーニョ、ユルゲン・クロップだ。
◎オリバー・ケイ氏が選出した2ndイレブン
GK:アリソン(リバプール)
DF:トレント・アレクサンダー=アーノルド(リバプール)
DF:ソル・キャンベル(トッテナムなど)
DF:フィルジル・ファン・ダイク(リバプールなど)
DF:デニス・アーウィン(マンチェスター・Uなど)
MF:ケビン・デ・ブライネ(マンチェスター・C)
MF:スティーブン・ジェラード(リバプール)
MF:ポール・スコールズ(マンチェスター・U)
MF:ライアン・ギグス(マンチェスター・U
FW:ハリー・ケイン(トッテナム)
FW:セルヒオ・アグエロ(マンチェスター・C)
オリバー・ケイ(『ジ・アスレティック』記者)
英国の高級紙『タイムズ』のフットボール部門のエース記者として、国内のメガクラブやイングランド代表の取材に飛び回った敏腕。2019年9月に19年間務めた同紙を離れ、骨太の分析記事に定評の新興ウェブメディア『ジ・スレティック』に活躍の場を移す。1975年5月26日生まれ。
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