「歴史を刻みたい」全4チームが勝点3で並ぶ大混戦のE組で首位のルーマニア。強豪ベルギーの指揮官も感服「気が抜けなかった」【EURO/コラム】

2024年06月26日 中野吉之伴

「国全体が僕らの後ろで支えてくれていると感じている」

混戦のE組で首位に立つルーマニア。(C)Getty Images

「我々は歴史を刻みたい。サッカーとスポーツがルーマニア人みんなにとってどれほど意味があることかというファンタスティックな例となる。初戦を終えた後、国全体が僕らの後ろで支えてくれていると感じている。希望と喜びがそこにある。これ以上我々をモチベートしてくれるものはない」

 ルーマニア代表のエドワード・ヨルダネスク監督は、そう言葉に力を込めていた。EURO2024のグループステージ第1戦でウクライナに3-0で勝利したのは、EURO2000でイングランドに勝利して以来実に24年ぶりの快挙。同大会ではポルトガル、イングランド、ドイツと同組になりながら、見事に2位で決勝トーナメント進出を決め、国民に歓喜をもたらした。

 その後、国民的英雄だったゲオルゲ・ハジら黄金世代が代表から別れを告げていくと、低迷期に入る。08年、16年のEUROでは本大会出場を果たしたが、ともにグループステージで敗退。そしてワールドカップは21世紀に入ってまだ出場していない。

 今大会は久しぶりにルーマニアの名を世間に知らしめる絶好のチャンスだけに、気持ちの入りようは半端ないものがある。ウクライナ戦の勝利で気勢をあげ、2戦目に対戦したのはFIFAランク3位のベルギー。こちらは初戦でスロバキアに0-1で敗れ、この試合を落とすと敗退が決まるだけにさすがに危機感が強い。
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 開始直後の2分にベルギーがいきなりユーリ・ティーレマンスのゴールで先制するが、ルーマニアも負けていない。右サイドからスピードを生かしてチャンスを作り、セットプレーからは空中戦の強さを生かしてシュートに持ち込む強さもある。

 試合後の記者会見でベルギーのドメニコ・テデスコ監督がルーマニア人記者からルーマニア代表の印象を聞かれると、真剣な表情でその手強さを語っていた。

「ルーマニアは決してあきらめないチームだ。最後まで気が抜けなかった。特に右サイドのアンドレイ・ラティウとデニス・マンはスピードのある危険な選手、状況に応じて鋭くサイドチェンジを駆使するし、他の選手もインパクトあるプレーを見せていた。とてもいいチームで、いいパフォーマンスだった」

 最終的にベルギーはケビン・デ・ブライネのゴールで点差を広げ、そのまま2-0で勝利へと持ち込んだ。他会場ではウクライナがスロバキアに2-1と逆転勝利を飾ったことで、グループEは4か国が勝点3で並ぶ大混戦の模様を呈している。
 

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