【新潟】ここ1か月でわずか1勝のみ。低迷する吉田アルビが埋め切れない“ちょっとしたもの”とは?

2016年05月01日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

攻撃面における内容は、決して悲観するものではなかったが…。

守備を固めた甲府に対し、ポゼッションで圧倒した新潟。中盤を駆け回った加藤(13番)らを軸に、テンポの良いパスワークを見せたが……。写真:J.LEAGUE PHOTOS

「今日の内容は悪くはなかったので、そこに自信を持って、前を向いてこの先も戦いたい」
 
 怪我が癒え、甲府との一戦で4試合ぶりに先発復帰した指宿洋史がこう話したように、こと攻撃面における新潟の内容は決して悲観するものではなかった。
 
 4-1-4-1のアンカーを務めた小泉慶、あるいは、インサイドハーフのレオ・シルバ、加藤大らを起点に、ワンタッチパスを織り交ぜながらゴールを目指す。そのスタイルは、大方表現できていたと言って良い。
 
ボール支配率(62パーセント対38パーセント)でも相手を圧倒し、5バックで自陣ゴール前を固めてきた甲府の守備網を前に「まずサイドに振って、中が空けばどんどん狙っていこうという戦い方は、狙いどおりにうまくできた」(加藤)。
 
 実際、「新潟のやりたい形を出させてしまった」(新井涼平)という75分のゴールシーン(甲府のオウンゴール)にしても、敵陣中央にいた加藤から右サイド寄りの野津田岳人、さらにバイタルエリア中央の指宿へダイレクトパスをつないで、最後はゴール前に抜け出した加藤にパスが通っていた。
 
 最終局面をなかなか崩し切れなかった問題はさておき、相手を揺さぶりながらゴール前に侵入しようとする意図は、前半から確かに見て取れたのだ。それでも、勝利に見放された要因を探った時、決定力不足以外に浮かぶのは果たしてなにか――。
 
 その答は、1失点目(クリスティアーノの直接FKの場面)を振り返った吉田達磨監督の言葉から浮かび上がる。
 
「(雨が降っていた)今日のスリッピーなピッチのなかでファンブルやコントロールミスが十分に起こり得る。(GKの)川浪吾郎がボールを弾いた際に周りはしっかりケアしなければいけないところでした。
 
そこであっさりと失点を食らってしまうのは、僕たちの今の実力ですし、そこに注意を向けられていない私のトレーニング不足だと思います。そういった、"ちょっとしたもの"がまだ埋め切れていない事実をもう一度選手に伝えなければいけない」
 

次ページ一種の緩さをどこまで減らせるかが浮上へのポイントに。

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