【今日の誕生日】4月26日/実は驚くほどの名選手だった南米の名将――ビアンチ(元ボカ監督etc.)

2016年04月26日 サッカーダイジェストWeb編集部

4度の南米制覇、3度の世界一を達成した名将は稀代の得点王。

名将のイメージが強いが、名選手でもあったビアンチ。ちなみに現日本代表監督のヴァイッド・ハリルホジッチも同様であり、フランスのナントで83、85年にリーグ得点王となった。 (C) Getty Images

◇カルロス・ビアンチ:1949年4月26日生まれ アルゼンチン・ブエノスアイレス出身
 
 南米を代表する歴代の名将として必ず名前が挙げるひとりに、アルゼンチンのカルロス・ビアンチがいる。
 
 1985年から90年まで、ランス、ニースといったフランスのクラブを率いた後、ヴェレス・サルスフィエルドに到来したのが93年。初年度から、68年以来となるリーグ(後期)優勝を成し遂げ、翌年には決勝で3連覇を狙うサンパウロをPK戦の末に下して、リベルタドーレス・カップも制した。
 
 95年にはトヨタカップで来日し、ミランと対戦。不利を予想されながら、2-0で勝利を飾り、世界王者にまで昇り詰めた。ヴェレスでは、他に2度のリーグ(前期、後期を1度ずつ)、コパ・インテルアメリカーナなどのタイトルも勝ち取っている。
 
 98年から監督に就任したボカでは獲得タイトルが倍増し、4度のリーグ優勝(前期、後期を2度ずつ)、リベルタドーレスは3度(2000、01、03年)、そしてトヨタカップでは00年にレアル・マドリー、03年にミランを下し、2度の世界一を達成した。
 
 しかしその一方で、ヴェレスで名将と認知された後、96年にローマ、05年にアトレティコ・マドリーと、欧州の名門クラブに招聘されるも、いずれも1シーズンもたずに解任。ローマでは、多くの主力選手と対立することとなった。指導者としては、欧州との相性は良くなかったようだ……。
 
 バランスを重視する戦術家で、守備からチームを構築するビアンチは、堅実なメンバー選び、采配で栄光を手にしてきた。指揮官として4度の南米制覇、3度の世界一を果たしたのは彼だけであり、今後も名将として永遠に語り継がれることだろう。
 
 と、ここで話は終わりではない。優れた指揮官として世界で知られるビアンチだが、彼はまた選手としても、大記録を残している。
 
 アルゼンチン代表として14試合でプレーしたほどの優れたストライカーであり、プロとしてデビューしたヴェレス(母国ではこのクラブひと筋のキャリアを送った)では、73年までの在籍期間で2度もアルゼンチンの得点王となった。
 
 73-74シーズンに欧州に渡ってランスに加入すると、彼の得点力はフランスで猛威を振るい、なんと5度もリーグ得点王に輝く。それもひとつのクラブでなく、ランスで3度、パリ・サンジェルマンで2度。これは、彼の点取り屋としての能力の高さの証明でもある。
 
 79年夏からストラスブールで1シーズンを過ごした後、アルゼンチンに帰国して古巣ヴェレスに復帰するが、凄いのは81年に3度目の母国リーグ得点王となったことだ。稀代のゴールマシーンは84年に再度フランスに渡り、ランスで引退。同時に、ここで指導者として歩み出し、後に栄光を築くこととなる。
 
 下記は、欧州主要リーグにおける、5度以上得点王になった選手。いずれも歴史に残る名選手ばかりである。ここに名を連ねるビアンチの偉大さが、改めて分かることだろう。
 
◇スペイン
テルモ・サラ(アスレティック・ビルバオ)
6回(44-45、45-46、46-47、49-50、50-51、52-53)
 
アルフレッド・ディ・ステファノ(レアル・マドリー)
5回(53-54、55-56、56-57、57-58、58-59)
 
キニ(ヒホン、バルセロナ)
5回(73-74、75-76、79-80、80-81、81-82)※誘拐
 
ウーゴ・サンチェス(アトレティコ・マドリー、レアル・マドリー)
5回(84-85、85-86、86-87、87-88、89-90)
 
◇イングランド
ジミー・グリーブス(チェルシー、トッテナム)
6回(58-59、60-61、62-63、63-64、64-65、68-69)
 
スティーブ・ブルーマー(ダービー・カウンティ)
5回(1895-96、96-97、98-99、1900-01、03-04)
 
◇ドイツ
ゲルト・ミュラー(バイエルン)
7回(66-67、68-69、69-70、71-72、72-73、73-74、77-78)
 
◇イタリア
グンナー・ノルダール(ミラン)
5回(49-50、50-51、52-53、53-54、54-55)
 
◇フランス
カルロス・ビアンチ(ランス、パリ・サンジェルマン)
5回(73-74、75-76、76-77、77-78、78-79)
 
ジャン=ピエール・パパン(マルセイユ)
5回(87-88、88-89、89-90、90-91、91-92)
 
◇オランダ
ルート・ヘールス(アヤックス、スパルタ)
5回(74-75、75-76、76-77、77-78、80-81)
 
◇ポルトガル
エウゼビオ(ベンフィカ)
7回(63-64、64-65、65-66、66-67、67-68、69-70、72-73)
 
フェルナンド・ペイロテオ(スポルティング)
6回(37-38、39-40、40-41、45-46、46-47、48-49)
 
フェルナンド・ゴメス(ポルト)
6回(76-77、77-78、78-79、82-83、83-84、84-85)
 
ジョゼ・アグアス(ベンフィカ)
5回(51-52、55-56、56-57、58-59、60-61)
 
マリオ・ジャルデウ(ポルト、スポルティング)
5回(96-97、97-98、98-99、99-2000、01-02)
 
◇ベルギー
エルウィン・ヴァンデンベルグ(リールセ、アンデルレヒト、ヘント)
6回(79-80、80-81、81-82、82-83、85-86、90-91)
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