創部9年目の上越がプリンス北信越2部で奮闘。元Jリーガー監督は苦労すらも楽しむ「しがみつきながら頑張っている」

2024年05月02日 森田将義

1年目はリーグ戦で全敗。県大会にも出られず

上越高を率いる藤川監督。水戸や大分などで活躍した元Jリーガーだ。写真:森田将義

 2016年創部ながら、今年はプリンスリーグ北信越2部に初参戦。4節を終えて、1勝1分2敗と奮闘を続けるのが、新潟県上越市にある私立の上越高校だ。

 チームを率いるのは藤川祐司監督。神奈川大学を卒業後、水戸ホーリーホックや大分トリニータ、松本山雅FC、Y.S.C.C.横浜を渡り歩いた元Jリーガーで、創部からチームの歴史を築いてきたという。

 神奈川県出身で小学生の頃から横浜F・マリノスのアカデミー一筋だった藤川監督にとって、新潟は縁も所縁も全くない地域。現役最後にプレーしたYS横浜時代のトレーナーが新潟県出身だったこともあって、上越高校が指導者を募集していると耳にした。

 すでに横浜のジュニアユースのコーチ就任が決まっていたが、未知の世界への興味は尽きない。「ユース出身だったので、高校サッカーはずっと憧れていた。すぐにプロの畑に行くよりも、教員免許も持っていたので一度、高校サッカーを見てみたかった。ちょうどチームを立ち上げるタイミングだったのも遣り甲斐があった」。
 
 すぐさま就任を決めたものの、高校サッカーは右も左も分からない世界。自身の高校時代も、後に日本代表となったハーフナー・マイクや秋元陽太などとプレーするなど、エリート街道を歩んできた。「県リーグってあるんだ! というところからのスタート。プリンス、プレミアぐらいしか知らなかった。どこからリーグはスタートするんだと思ったら、県4部からと言われて、そんなリーグやっていたんだと思った。1年ごとしか上がれないと言われて、さらに驚いた」。

 就任前は同好会があっただけで、選手は5人からのスタート。藤川監督が就任した2016年にサッカー部が立ち上がったが、1年目は初心者を勧誘し、何とか18人集めて戦う状態で、1年目はリーグ戦で全敗。インターハイと選手権も地区大会で負けて、県大会にも出られなかった。

 ただ、就任したばかりの頃は20代後半で、まだまだ身体が動く。「外から見えることがあれば、中に入って肌感覚でないと分からないこともある」と、選手に交じってボールを蹴ることで成長を促していく。

 今も就任当初と指導スタイルは変わらない。「元Jリーガーの監督のもとでプレーしたかった。それに、地元で良いプレーをして、全国に出たかった」。入学の決め手についてこう話す主将のMF松澤煌成(3年)は「監督は上手い。トラップの置き所、見ている所、ロングボールの回転などを学んでいる」と続ける。

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