【リーガ現地コラム】バルサの急失速で状況が一変。タイトル争いは混戦模様に

2016年04月14日 豊福晋

いまのバルサに少し前のような凄みはない。

32節のR・ソシエダ戦では、相手の密着マークに苦しみ精彩を欠いた。エースとしての重責を果たせなかったメッシは、バルサの停滞を招いた戦犯のひとりとして批判の対象に。 (C)REUTERS/AFLO

 リーガ・エスパニョーラの決着はまだ着いていない!!

 32節が終わった段階で、スペインの各メディアは一斉にそう報じた。

 バルセロナの独走により今シーズンのリーガは終了した。これがほんの少し前まで誰もが抱いていた考えだろう。他国のリーグと比較してつまらないとさえ言われるほど、バルサの強さは際立っていた。

 しかし、そうした状況がたった1、2試合で一変するのだからサッカーは怖い。

 バルサがここ3試合で獲得した勝点は1。先のクラシコに敗れた(スコアは1-2)精神的な影響は大きく、翌節には苦手とするレアル・ソシエダに屈し、連敗を喫している。

 いまスペインでは、バルサが優勝を逃すのではないか。という空気すら流れている。

 現時点でもっともタイトルに近い位置につけているのはバルサだ。2位のアトレティコ・マドリーに勝点3差、3位のレアル・マドリーに同4差をつけているだけでなく、仮にポイントで並ばれても優勝できるからだ。

 全日程を終了して複数のチームが同勝点で並んだ場合、リーガでは得失点差ではなく、当該クラブ同士の直接対決の成績で順位が決まる。つまりバルサは、サンチャゴ・ベルナベウで4-0と退けたマドリーと並んだ場合も、ホーム、アウェーとも勝利したアトレティコと並んだ場合も、頂点に立つのだ。3チームが同勝点でシーズンを終えたとしても、バルサは戴冠となる(アトレティコとマドリーが並んだ場合は前者が優勝)。

 しかし、勢いという点で、いまのバルサに少し前のような凄みはない。

 とくにリオネル・メッシは、「パナマ文書」騒動が影響してか、いまやまったくの別人になったかのようだ。エースが調子を落としたのは、プレーエリアがサイドからより中央寄りとなったクラシコ前後から。中盤の低い位置ではボールに触れているものの、肝心なエリアでまったく仕事をさせてもらえていない。

 バルサのカウンターが研究されているのも、メッシを中心とするトリデンテのスピーディーな攻撃が鳴りを潜めている要因だろう。このところ対戦相手はあまり攻め上がらないうえに、守る際にはサイドのスペースを捨ててでも、とにかく中央を固めるという意識を強めている。

次ページローテーションを軽視した采配のツケを払わされている。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事