【プレミア現地コラム】アーセナルの望みを絶つハットトリック。「古風なCF」がEUROで代表復帰も!?

2016年04月13日 山中忍

ステルス機ではなく、目視できる大型爆撃機。

圧巻のハットトリックでアーセナルの優勝の望みを絶ったキャロル。にわかに浮上しているのが、EURO2016に臨むイングランド代表のエントリーメンバー入りだ。 (C)Getty Images

 古風なイングランド人CF――。時代遅れのターゲットマンという否定的な意味を含みがちな表現だが、その高さと強さが群を抜き、わかっていても止められないとなれば話は別だ。
 
 例えば、4月9日のアーセナル戦(3-3)で圧巻のハットトリックを決めたウェストハムのアンディ・キャロルだ。ハーフタイムを挟む8分間に届いたファーポストへのクロス3本を、ヘディング2発と胸トラップで処理した後のボレーでゴールに変えた彼は、アーセナルが抱いていた優勝への微かな望みを打ち砕いた。
 
 ゴール前でのキャロルは、レーダーに捉えられないステルス機ではなく、目視できる大型爆撃機のような脅威。アーセナルはその爆撃機に、2点のリードを覆された。
 
 1点目、3㍍ほどマークを外されてクロスへの助走を許したロラン・コシエルニーとガブリエウの両CBは、怖じ気づいているかのようでさえあった。
 
 続く同点ゴールの場面、軽くジャンプしながらトラップを試みたキャロルはノーマークだった。
 
 後半に決めた逆転弾は、体格で劣る右SBエクトル・ベジェリンの背後を取られた時点で、ヘディングで競り負ける結果が見えていた。
 
 とはいえ、アーセナルDF陣を単純には批判できない。空中戦が弱いのはたしかながら、キャロルはジョン・テリーとガリー・ケイヒルがCBコンビを組むチェルシーのほか、サウサンプトンやリバプールと戦った今シーズンのプレミアリーグにおいても頭でネットを揺らし、勝利に貢献しているのだ。
 

次ページ故障さえ続かなければ「最盛期のCF」だった。

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