「集中していたから生まれた」先制ループ弾も、「勝てなかったから…」素直に喜べない香川

2016年04月11日 山口裕平

意表を突くシュートに、シャルケのGKは全く動けなかった。

2試合連続で価値あるゴールを決めた香川。一時の不調から脱したことは、今後、ラストスパートをかけるドルトムントにとっては非常に大きいだろう。 (C) Getty Images

 香川が、またダービーで輝いた。
 
 ブンデスリーガ第29節、シャルケとの「レヴィア・ダービー」に先発フル出場した香川は、49分にエリア外から先制点となる芸術的なループシュートを決め、今シーズンのリーグ通算7点目をマークした。
 
 しかし、チームは2度のリードを守り切ることができず、2-2のドローに終わった。これで首位バイエルンとの勝点差は7に広がり、逆転優勝は厳しい状況に追い込まれることになった。
 
【試合レポート】シャルケ 2-ドルトムント

 通常であれば、両者がプライドを懸けて激突するこのダービーだが、トゥヘル監督は木曜日に行なわれるリバプールとのヨーロッパリーグ(EL)準々決勝・第2レグを見据え、控えメンバー主体でこの試合に臨んだ。
 
 リバプール戦の第1レグからは、オーバメヤン、ロイス、ムヒタリアンを含めた先発メンバー8人が、28節ブレーメン戦からは7人が入れ替わっていた。
 
 香川が試合を動かしたのは49分。ペナルティエリア右からライトナーがヒールで落としたボールを、エリア外からループシュートでゴール左隅に流し込んだ。
 
 強烈なシュートを予想していた相手守備陣の意表を突くシュートで、GKフェーアマンがほとんど動くことができなかったように、一瞬時が止まったかのように思えたシーンだった。
 
 試合後の香川は、自身のゴールを「冷静に試合に入れたから、ああいう(ループシュートという)判断ができたと思いますし、しっかりと試合に集中して入れたから、ああいうゴールが生まれたと思います」と振り返った。
 
 両チームが高い集中力を保ち、なかなかチャンスを作り出すことができない展開のなかで、香川のゴールは膠着状態の終わりを告げる合図となった。
 
 直後にシャルケが追いつくと、5分後にはドルトムントがセットプレーから突き放すが、66分にはシャルケがPKで再び同点に。その後、両者ともに決勝点を奪うことはできなかった。
 
 試合後、香川の表情は決して明るくはなかったし、ロッカールームへ引き上げる際も、どこか俯き気味だった。
 
「勝ちたかったですし、悔しい引き分けですね」
 
 こう本音を口にした香川。チームは終盤に勝ち越しのチャンスを作り出していたし、自身も71分にプリシッチの折り返しから決定機を迎えるも、シュートはGKの正面を突いただけに尚更だっただろう。
 
 メンバーとフォーメーションが大きく変わったなかでも、勝たなければリーグ優勝が遠のくことは分かっていた。ゆえに、「勝っていれば良かったですけど、勝っていないので……。素直に嬉しいというわけではないですね」と自らのゴールを喜ぶことはできなかった。
 
 ただ、休む間もなく次の試合はやって来る。「(次の試合まで)時間がないので、しっかりと切り替えて、(良いかたちで試合に)入っていきたいと思います」と言い残し、香川はミックスゾーンを後にした。
 
現地取材・文:山口 裕平
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