【移籍専門記者】代理人ライオラがイブラヒモビッチ&ポグバの売り込み電話をかけた相手とは?

2016年04月03日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

鼻が利くライオラは先回りして売り込みを開始した。

イブラヒモビッチ(左)とポグバ(右)の代理人を務めるライオラは、両者の今夏移籍の道を模索している。(C)Getty Images

「もしもし、ベルタさん? ミーノ・ライオラだけど」
 
 この大物代理人が電話した相手は、アトレティコ・マドリーでテクニカルディレクターを務めるアンドレア・ベルタ。とはいえ、アトレティコに用があるわけではない。興味があるのは、マンチェスター・ユナイテッドだ。
 
 鼻が利くライオラは、ベルタがジョゼ・モウリーニョの監督就任が内定しているマンチェスター・Uのスポーツディレクターに転身すると見込んで、先回りして売り込みをかけたというわけだ。
 
「イブラヒモビッチとポグバに興味はあるかな?」
 
 今シーズン限りでパリSGとの契約が切れる34歳のスーパーストライカーと、今や飛ぶ鳥を落とす勢いで評価額は1億ユーロ(約125億円)とも言われる23歳の怪物MF。どちらもライオラの顧客だ。
 
 2人のワールドクラスを巡るライオラとマンチェスター・Uの話し合いは、これからの数か月で具体的な移籍交渉に発展する可能性を秘めている。
 
 ただ、問題がひとつある。ライオラはすでにベルタが、マンチェスター・Uのスポーツディレクターに就任すると踏んでいる。しかし、ベルタ自身はまだ、モウリーニョの代理人として赤い悪魔に深く食い込んでいるジョルジュ・メンデスからのオファーを受けるかどうか、最終的な決断を下していないのだ。
 
 アトレティコでディエゴ・シメオネ監督、そしてもうひとりの強化担当者であるホセ・ルイス・カミネロとの良好かつ円滑な関係に終止符を打つことに、ベルタはまだ躊躇している。
 
 一方ではスペインでの生活に満足しておりアトレティコに対する愛着とプライドも感じているが、もう一方ではプレミアリーグという大舞台、マンチェスター・Uという偉大なクラブでの新たなチャレンジに強い魅力を感じてもいる。
 
 ベルタがマンチェスター・Uのスポーツディレクターに就任し、イブラとポグバの獲得に乗り出す――。策士ライオラが描いたシナリオは、はたして実現するのか?
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
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