【ビッグクラブの回顧録】“あの時”のユナイテッドを振り返る vol.21~2010-11シーズン ~

2016年03月28日 サッカーダイジェストWeb編集部

イングランド・サッカー史を塗り替える19度目のリーグ制覇!

史上最多となる通算19度目のリーグ優勝を果たしたユナイテッド。ついに、ライバルのリバプールを抜き去った。 (C) Getty Images

 前シーズン、クリスチアーノ・ロナウドやカルロス・テベスが同時に退団して選手層が薄くなったことが仇となり、獲得タイトルがリーグカップのみに終わったユナイテッド。新シーズンを前にチェルシーからの覇権奪還に燃えていたが、またしてもピッチ外での騒動が先行して話題となった。
 
 前シーズンにキャリアハイの26ゴールを叩き出し、押しも押されもせぬ大黒柱に成長したウェイン・ルーニーが、売春婦との不倫を報じられたのである。当時コリーン夫人が第二子を妊娠中だったこともあり、エースの火遊びは一大スキャンダルへと発展した。
 
 ルーニー本人も「人生の破滅だ」と猛省したこの騒ぎはその後、収束に向かっていったが、今度は9月、彼の「ユナイテッド退団」の報が現地紙の見出しをさらってしまう。
 
 C・ロナウド退団後、チームの強化が進んでいないことにルーニーが不満を漏らしたことに端を発した移籍騒動は、「チームの将来を保証してもらえなかった。だから、新契約にサインしないと伝えたんだ」と本人が公言したことで、本格化した。
 
 しかし、その発言から2日後、ユナイテッドはルーニーと5年間契約延長を発表。年棒1250万ポンド(約16億7000万円)を提示し、大黒柱の流出という最悪の事態を免れたのだった。もっともこの騒動、一部では大型契約を勝ち取ろうとするルーニー側の策略だったともいわれている。
 
 開幕前から立て続けに騒動を巻き起こしたルーニーはシーズン開幕後、10月末から1か月間、ベンチ外の日々を送ることとなったのだが、その間、チームを支えたのは新戦力のハビエル・エルナンデスだった。
 
 開幕前に行なわれた南アフリカ・ワールドカップでの活躍が評価され、メキシコのグアダラハラから加入したエルナンデスは、すぐにチームに馴染んで非凡な得点感覚を見せつけた。
 
 また、彼と2トップを組んだディミタール・ベルバトフも15節のブラックバーン戦で5得点を叩き出すなど、ルーニー不在をカバーした。
 
 そして後半戦に入ると、復帰したルーニーが27節のシティとのマンチェスター・ダービーで豪快なオーバーヘッド弾を決めるなど、本調子を取り戻した。
 
 これでエンジンがかかったチームは、首位の座を一度も譲ることなく快走し、37節にイングランド・サッカー史上最多となる19度目のリーグ優勝を成し遂げたのである。
 
 最終的に2位のチェルシーに9勝点差をつけたプレミアでの戦いで得た自信は、チャンピオンズ・リーグ(CL)でもいかんなく発揮され、グループステージから無敗で勝ち進み、5シーズンで3度目のファイナリストとなる。
 
 決勝戦の舞台はロンドンのウェンブリー・スタジアム。相手は、2シーズン前にローマで辛酸を舐めさせられたバルセロナだった。
 
 リベンジに燃えたユナイテッドは、ベストメンバーでこの一戦に臨んだ。しかし……。
 
 ジョゼップ・グアルディオラ体制3シーズン目を迎え、ポゼッションサッカーの成熟度を高めていたバルサの攻撃に、ユナイテッドは手も足も出ずに1-3と完敗。欧州の覇権奪取の望みは再びスペイン王者に打ち砕かれ、失意のままシーズンの終えたのである。
 
 ちなみにこのシーズンでエドウィン・ファン・デルサル、ガリー・ネビル、ポール・スコールズの3選手が引退を発表。若手中心のチーム構成のなかでも際立った存在感を示してきた3人のキャリアの終焉を受け、ユナイテッドの関係者はチームの将来に不安を隠せなかった。
 
 

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